ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第53回 細川佳代子さん

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特定非営利活動法人スペシャルオリンピックス日本 理事長
細川佳代子さん
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利養・名聞・勝他
- 細川
出家ってね、利養・名聞・勝他の心を切るということが出家なの。利養っていうのは、自分中心ということね。自分の得になることはするけれど、損になることは絶対しない。そういう、いつも計算心を持つということを、利養。利益の利に、養う、ね。
名聞っていうのはね、名誉とか地位とか、そういうものを欲しがる心ね。それから勝他っていうのは、他人に勝つ、競争心ね。
出家とはこれを全部捨てることなの。私は熱烈な仏教徒なの。キリスト教を基盤にした。
- 佐々木
カトリックの心を持った浄土真宗。
- 細川
はい。だって同じだから。父と子と精霊の御名においてアーメン、って、なんのことだか分からなくて幼稚園から大学まで18年間やってたけど。
- 佐々木
私も幼稚園がカトリックですから、3歳で覚えたお祈りを、ずっと唱えながら生きてきました。でも家は浄土真宗です。
- 細川
浄土真宗って言ったら、南無阿弥陀仏なのよ。キリスト教の十字を切るのがね、南無阿弥陀仏なの。同じなの。私、それを発見したの。浄土真宗とキリスト教って、まったく同じ。言葉が違うだけなのよ。
だから、私このスペシャルオリンピックスの活動をずっと、何を基盤にしているかっていうと、この覚悟でやっているの。最後には私は、やっぱりもともと、おじいちゃんとおばあちゃんが喜んでくれるから、うれしくてしょうがなくてやった、これが原点でしょう。人が喜んで、しかもできることなら多くの人に喜んでもらって。
知的障害のある人が100万人くらいいるかもしれない。でも、療育手帳をちゃんと厚生省からもらっているのは、46万5千人。そのうちの、まだスペシャルオリンピックスに参加しているのは、まだ5千人しかいない。ほんの100人に1人しか、楽しい活動に参加できていない。
この人たちみんな、人生が変わるようになってほしい。そしてその家族の人が、みんな人生が変わるような、生活が変わるような、楽しいスペシャルオリンピックスに参加してもらいたい。
そして周りの人たちが、彼らと交流することによって、人生観が変わり価値観が変わり、人生が豊かになり、優しくなるっていう、すごいそれだけでわくわくしてしまう。
最後は何かって言うと、私達人間一人一人がほんとうに、生まれてきてよかった、生かされているっていうことを心から感謝できる人間に、みんながなったら、本当に日本っていう国は世界一すばらしい国になるだろうと思うので、最終的には魂の問題よね。心の問題よね。
- 佐々木
「出家」という言葉は、不勉強なので、なんだか行き着く先の到着点のようなものを想像しましたが、そうではないんですね。
- 細川
生活そのものがそうなるということよね。これが私の理想です。
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