ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第54回 進藤奈邦子さん

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進藤奈邦子さん
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子どもが子どもらしくいられる国、スイス
- 佐々木
最後に子育てのことを伺いたいんですけど、それだけ忙しくて子どもは誰がみてるの?
- 進藤
最初の2年間は私の親戚の女の子が一緒に来てくれて。彼女はね、イギリスのマンチェスターでフラワー・アレンジメントをやってたんだけど、スイスでもできるからっていう事で来てくれた。ご飯作ってもらったり、家事を手伝ってもらったりして、子どもの宿題もみてもらったりして。
私が帰るまでいてくれる、たとえば私が出張中はやっぱりみてもらわなくちゃいけないけど。それと、ちゃんと家事をする人は確保してるの、お手伝いさんを確保してる。それから働くお母さんのネットワークみたいのもあるから、そういうところで協力し合うっていうのもあるし。
それからうちは父が南米にいて、母が日本にいるんだけれども、まあ、中間地点なわけですよ、うちが。だから時々両親にうちに来てもらって、子どもをみてもらう、っていう事もある。
- 佐々木
どうですか、スイス、やっぱりいいですか、子育てには。
- 進藤
子どもが、子どもらしくいられる所なんです。子どもを社会で育ててるっていう感じで。みんな子どもに干渉してくるわけですよ、うるさいとか、行儀が悪いと、こうしろ、とかね。
たとえばヨーロッパでは自転車は車両と同じだから歩道ではなく車道を走りなさい、それにあたってはヘルメットを着用しなきゃいけないとか、そういう事を黙ってないわけ、みんなすごく言ってくるのね。
そのかわりバスとか、公共の交通機関に乗ったりすると、子どもは立ってると危ないから座らせてくれる。それとね、思春期の、要するに、一番日本だと子どもと遠いはずの人たちが子どもをすごく可愛がる。
- 佐々木
ティーンエイジャーってこと?
- 進藤
そう、子どもと遊んでくれるし、子どもが来ると座らせてあげたり、たとえば手を貸してあげたり。そう、すごく驚くのは、バス、結構満員なわけよ。そこに乳母車を押した女性が来るわけ。そうすると、ぱぱっとみんな降りて、男の人が何人もで一緒にのっけてあげる。それはもう本当しょっちゅう見る光景。
日本にみたいに電車がつくと、わーって、大人だけ席座っちゃうっていう事絶対ない。男性は年をとっても男性で、私よりどう見てもシルバーシートの人なんだけど、っていうような人が、「マダムどうぞ」って席を譲ってくれるわけ。ちょっと「やー、こんな人に代わってもらっちゃっていいんだろうか」って思うけど、彼は自分はジェントルマンで、私をレディーとして扱ってくれてるわけだから、お言葉に甘えて腰掛けさせてもらう。その辺の余裕がね、すごく違う。
- 佐々木
教育面にも表れている。
- 進藤
社会に守られてるし、監視されている。だからちゃんとみんな大人が子どもの事を見てるから。上の子は5年生で、英語はすっかり覚えました。下の子もかなり。子どもを育てるにはいい場所だと思います。
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