ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第59回 野口 健さん

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野口 健さん
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勉強ができず人間として認めてもらえなかった
- 佐々木
すばらしい校長先生ですね。
- 野口
最初は本当、脅しかと思ったんですよ。「仮進級。まあ、どうせ名前だけだろう」と。でも、仮進級してみたら、本当にこれはいわゆる「仮」で、クラブ活動もできない。文化祭もダメ。生徒会に至っては選挙権剥奪ですよ。
- 佐々木
本当に? 徹底してる。
- 野口
本当にそうです。だから放課後に、みんながクラブ活動をやっている時は、先生と補習ですよ。もう、運動会も出られないんです。で、ある時に教室でボーッとしていたら、「おーい、カリカリ、おーい、仮」って先生が言ったんですよ。もうそれで、仮がバレるわけですよ。誰も仮だとは知らなかったですからね。
- 佐々木
そうですよね。
- 野口
「なんで先生は野口のことを『仮』って呼ぶんだ?」みたいな。みんな、ちょっと不思議に思ってましたけどね。それからね、「仮」なんですよ。全寮制でね、あの学校は土日も学校から出られないし。
- 佐々木
そうか、全寮制でそれは辛いですよね。
- 野口
1、2、3学期あるんですけど、その学期間中は、基本的に学校から一歩も出られないんです。で、夜の9時とか10時まで授業がある。当時の僕の世界の中のほとんど、学校の中の世界ですからね。そこで全部、カリカリ、カリカリって外される。人生で初めて、「ああ、勉強ができないっていうのは、人間として認められない。価値がないんだな」って、まあ、たかだか15歳ですからね、思い込むわけですよ。それでイライラするんですね。
- 佐々木
そうですよね。
- 野口
だんだん生活が荒れる。すると、夜、男子寮に帰るとね、生活が悪いと、目つきが悪いとか、ポケットに手を突っ込んで歩くわけです。寮での先輩と後輩の関係は厳しいですからね。そうすると、目をつけられて、夜中にやられる。呼ばれて、殴られて。そういうのが続いて。
ある時、呼ばれた時に逆切れしましたね。ボコボコに殴ったんですよ。そうしたら、顔が腫れましてね。「バレたらまずいな」と思って、その腫れた顔を押し込むんですけど、ひっこまないんですよ(笑)。で、結局はバレて、停学処分になったんです。それで、日本に帰らされて、1カ月間の自宅謹慎になりました。
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