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アン・オレアリーさん
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子どもが学習できる環境を作るために
- 佐々木
日本に話を戻しますが、日本の小学校では1人の先生が40人もの子どもを受け持ち、ほとんどすべての教科を教えます。しかも、生徒一人ひとりの日記を読んで、それぞれにコメントを書いたりもするのです。ですから、子どもの行動の変化や、問題行動への対処にまで手が回らないように、私には見えます。こうした日本の教育システムについて、どう思いますか? この中には、学習障害の問題も含まれていると思うのですが。
- オレアリー
子どもたちというのは、安心できる環境、自分自身を好きでいる状態にならないと、学習ができないのです。上から指導されるような環境だと、子どもたちは下なので、そうした状況では学習することができません。その上、1人の教員で40人を見るような状況では無理ですよね。だからこそ、チームでの対応が必要なんです。チームなら複数の人間がさまざまな視点から見て、子どもたちをサポートする方法を見つけられます。
カウンセリングなど感情面でのサポート、社会的なサポートが必要なんです。もしも子どもがイライラした状態だったら、その子は学ぶことができないんです。だから、そういったチームでの対応システムは、ただ持った方が良いということではなく、持つ必要があるのです。
それから住んでいる場所にも関係があります。たとえば都市部に住んでいるとストレスがある、親が貧しい、失業中である、朝食をとらずに学校に来ている、また十分な睡眠をとっていないなど、そうしたことすべてが学習に影響します。
- 佐々木
日本には、学校心理学者を育成する機関がないので、そのためのカリキュラムを作り、特殊教育システムを構築するまでには相当の時間がかかりそうです。まず、学校心理学者を育てるのに6、7年かかりますから、オレアリーさんに日本に来ていただいた方がいいと思います(笑)。
- オレアリー
喜んで日本に行きます(笑)。でも、まずは、こちらで特殊教育のモデルや、子どもたちがどのように教育されているかを、視察に来たりして、学ぶ方が近道かもしれませんね。
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