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アン・オレアリーさん
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優れた才能を持つ子どもへの教育
- 佐々木
アメリカの学校では、優秀な子どもたちへの特別教育もありますよね。
- オレアリー
私たちの学区では、「プロアクティブ・ギフテッド&タレンテッド・プログラム」というのもあります。特殊学級の中で、特に優れた才能のある子どもがいる場合は、名指しで推薦することができるのです。
- 佐々木
それはどういった才能を指すのでしょう。
- オレアリー
私たちの地区では3つの分野があります。チャレンジ、算数、リーディングに優れている子どもたちを選出します。法律があるんです。法律により、各学年で、才能ある子どもを選び出すように決まっているんです。
- 佐々木
法律で!?
- オレアリー
学区によって異なりますが、私たちの学区では、たとえば小学2年生の場合、先生や両親が記入する推薦用紙というのがあって、どこがどう優れているかを記入します。優れた才能を持つ子どもをスクリーニングするための共通のツールがあって、それに従います。
私たちの学区には定期的に活動する委員会があって、先生方が集まって、その子どもについてのコメントなどもしながら、選出していくんです。そこに子どもを教えている先生が出席して、「これがテストの結果です。この子にはこんな優れた才能があります」といった説明をします。
チャレンジテスト以外に算数とリーディングの部門があって、3つすべてに同時に応募することもできますが、1つだけ選んで応募することもできます。それで選出され、3年生になると、小さなグループに分かれ、週に1回、1時間ほど特別な教師の下、より高度な内容を学習することができます。
- 佐々木
伸びていくスピードが子どもによって違うから、興味を持って、前にすすませるというのも、学校側の責任、ということなんでしょうね。
- オレアリー
そうですね。そこでさらに優秀であると認められれば、算数やリーディングのクラスで上のクラスへの昇格が認められます。たとえば、リーディングやライティングが優れている子どもなら、より難しい小説を読んだり、難しい作文を書くことに取り組んだりするのです。進んだ先のクラスがどうも合わないということになると、またテストをして見直しもします。
- 佐々木
学力があっても、社会的な発育という面では、追いつかない場合もあるのでは?
- オレアリー
小学2年生では、テストを受けたがらない子どももいますので、そういった場合はテストをしません。でも、4年生くらいになるとわかります。
- 佐々木
逆の場合もありますよね。2年生の段階では優秀に思えたのに、4年生になったら普通の子どもだったということも。
- オレアリー
そうなんです。
- 佐々木
授業は、通常の勉強以外にも、何かしますか?
- オレアリー
チャレンジのクラスでは、株式市場ゲームをしたようです。さまざまなパズルやクリエイティブなこともします。
- 佐々木
面白いですね。いろいろと先生が工夫されるんですね。
- オレアリー
そうです。才能ある子どもたちを教えることの専門教師陣がいて、彼らにより構成された実行委員があり、月に一度集まって授業内容を話し合ったりするんです。子どもの親も何人か参加したりします。
- 佐々木
ちょっとうらやましいです。日本では1つのクラスで習熟度の早い遅いに関わらず、皆が一緒に勉強しているので、余計に、それぞれのニーズにも合わず、授業態度も悪くなっている気がすることがあります。
- オレアリー
こうした優れた子どもを無視するわけにはいきません。本当に優秀な子どもがいますから。
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