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パトリック・ダヴィッドさん
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フランスの医師は1年に2週間ボランティア活動ができます
- 佐々木
でも、なかなか、現地での長期活動に現役医師が参加するのは難しい問題もあるでしょう。
- ダヴィッド
「世界の医療団」の活動に参加したい人は、3つの形態のなかから、自分にあったものを選ぶことができます。
医師がボランティアとして参加する場合、活動期間は6ヶ月から1年間で、給料も1カ月1200ドル程度と非常に小額です。
「世界の医療団」は主要各国に拠点を持っていて、フィールドで活躍するスタッフや医師たちは原則無給です。
しかし、世界の医療団はフランスではとても有名な組織で、ベルナール・クシュネル氏がフランスの保健省と話をつけてくれたおかげで、フランスの医師は一年間のうち2週間、ボランティア活動に参加するために職場を離れることができることになっているんです。
この点が、日本とフランスのシステムの大きな違いでしょう。日本のシステムでは、医師が職場を離れてボランティア活動に参加することが難しいと思います。
フランス政府は私たちの活動を高く評価しているので、「医師がボランティアとして活動に参加すること」を認めているのです。フランスの持つ文化的特性も関係しているのかもしれませんね。
- 佐々木
それは、とてもすばらしい特性だと思いますよ。ということは、世界の医療団の医療活動にボランティアとして現地で参加する医師の滞在記間は2週間程度が平均ですか?
- ダヴィッド
活動の内容によって違ってきます。地震直後のパキスタンや、スマトラ沖地震とインド洋大津波直後のような、被災地区での緊急救援活動には、その日にたまたま身体が空いていた医師たちが、1週間や10日間、2週間の予定で現地に赴きます。そして現地での活動を通じて、チームが作られていくのです。どこに派遣するかで、拘束期間も変わってきます。
- 佐々木
そういった災害時には、「世界の医療団」から電話をしたり、e-mailを送って参加を呼び掛けるのですか? 日常からボランティア活動に興味を持つ医師のデータベースを作成しておいたりして。
- ダヴィッド
いえ、むしろ紛争や災害が発生した場合には、医師たちのほうから私たちのもとに、「現地に行きたいのだけど」という、問い合わせが入ってきます。
インド洋大津波のとき、インドネシアのアチェ州で私たちは初めて、「国境なき医師団」と一緒に陸上での緊急医療支援活動を行いました。あの大災害の前よりすでに別のプロジェクトでインドネシアで活動していた私たちのチームは、インド洋大津波が発生した時ジャカルタからボルネオに向かおうとしていたのです。大津波発生のニュースを聞くとすぐに、私たちはそのチームの移動を一旦ストップさせ、直ちにスマトラに向かうように指示しました。
そのおかげで、「世界の医療団」はアチェ州に一番乗りすることができたのです。到着直後の現地の状況は悲惨を極め、大人数のチームでの救援活動は不可能でした。
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