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田丸 美寿々さん
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女性は契約、男性は正社員だったんです
- 田丸
本当にそうです。「こんなひどい会社ない」と言って訴えて、「これは不当労働行為だ」とか「差別だ」とかって、いくらでもいろんな理由をつけて訴えれば全部勝てるようなとても古い体制だったんですよ。
- 佐々木
そういう厳しい中で、田丸さんのプロフィールを拝見する限りでは、ひょんな事から応募されてフジテレビに入られたということですが、でも、気軽に応募した割には、厳しい過酷な環境。それは組織の中での厳しさもあっただろうし、リポーターあるいはアナウンサーとしての職業としての、初めて遭遇する様々な厳しさがあったんじゃないかと想像するんですけど、そこで辞めずに、踏ん張ろうというか、続けていこうと思われた理由は何だったんですか?
- 田丸
本当に、私はごく普通に、平々凡々に腰掛就職でもして、寿退社をして、社内恋愛でも何でもいいけど、母親になって、ささやかな幸せでも見つけられればいいかな、なんて思って、そんな程度で、仕事に対して何の野望も大志もなかったんです。だから普通に商社の入社試験を受けて、某三井物産という所に内定を頂いて、そこに行くつもりでいたんですよ。
当時はまだ男性優位社会もいい所ですから、商社に大卒で入っても、先輩などにいろいろ聞くと、「アシスタント的な仕事よ。2〜3年で辞めていく人が多いわね」みたいな感じで、総合職なんか何もないですからね、そのぐらいでいいかな、とぐらいに思っていたんですよ。
そんな時に、ひょんな事でフジテレビの試験を受けてみたら、それまで私が受けていた面接、いろんな、銀行だとか外資系の会社だとか、商社も含めて、全然面接の手応えが違うのね。
「あなたは、テレビというメディアを通して何をやりたいんですか?」と真剣に聞かれて。それまでは、「大卒でもお茶汲みしますか?」とか、「結婚したら辞めますか?」みたいな、そんな事しか聞いてくれなかったので、それがすごく手応えがあって嬉しくて、「この会社って面白いのかもしれない」って。
アナウンサーなんて考えてもいなかったし、人前に出るのがすごく苦手なタイプだったから、まさかと思っていたんですけど、物は試しと思って。そこの判断が、以後の私の人生を狂わせたというか、変えたというか。
で、フジテレビに入ってみたんですね。そうすると、そこも実は同じように男性社会で、女性がニュースをやりたい、報道をやりたい、っていうこと自体が、もう生意気と言われた。取材なんかどこも行かせてもらえない、ニュースすらも読ませてもらえないという時代だったわけです。
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