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株式会社マーケティング・エクセレンス マネージング・ディレクター
戸谷 圭子さん
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属性や行動結果のデータでは、足りません
- 戸谷
日本の銀行では、まだ全然、顧客情報を使ってデータマイニングなんていうことがない時代だったのですが、バンク・オブ・アメリカの中に、そういうことをすごくやっている部署があって、ベンダーのアメリカ本社にはその経験のある人たちがいて、金融のデータマイニンググループがあったんですね。
そこと一緒になって、行ったりきたりして、日本に金融のデータマイニングを入れるというような、そういうプロジェクトを最初にさせてもらったんです。
- 佐々木
すごく面白そう。
- 戸谷
面白かったんです。すごく面白かったんですけれど、行き詰ったんです。
- 佐々木
どうしてですか?
- 戸谷
銀行が持っているデータというのは、最終的にお客さんが何をしたか、金融商品で何を買ったか、どういう出入りがあるかという、結果情報です。あとは、顧客の属性と言われる、どこに住んでいる、何歳、女性・男性、というようなことが分かるんです。属性のごく一部の部分と、最終的に結果として何をしたかという、この情報が、量的には膨大にあるんだけれども、この間をつなぐものがないんですね。
つまり、なぜ、その商品を買ったのかとか、よそも同じ商品を出しているのに、なぜそこを選んだのか、どんな刺激があって、それに反応したのかといった情報。マーケティングはそこが必要なんですけれども、そういう途中の情報が何もない。
そこで、結果と一部の属性だけでマイニングをして、マーケティングをやりましょうという話なので、これは実は無理だったんですね。明らかに情報が足りない。
顧客データをデータマイニングのツールにかけると結果みたいなものは一応出るんですね。たとえば投資信託をその頃売り始めていたのですが、ツールにかけると、投資信託を買ってくれそうな人のリストが、一応出てきたりします。
すでに投資信託を買ってくれた人たちがその銀行で他にどんな商品を組み合わせて持っているかを分析します。そうすると、それと同じ商品の組み合わせを持っているんだけれども、投資信託はまだ持っていない人が、いっぱいいます。で、その人たちがターゲットになりますという、そういうロジックなんですね。
これはどういうことなのかということを解釈していたら、投資信託を買っている人たちの多くがカードローン口座を開いていることがわかりました。しかも、カードローンを契約しているんだけれど、全く使っていない。
何が起きていたかというと、その頃、投資信託もカードローンも、銀行からお願いをして、融資取引のある企業の社長さんだとか、渉外さんがしょっちゅう行っていて仲のいいおばあちゃんとか、そういう人たちに買ってもらっていたんですね。
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