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リポート: 須田健一さん
(スウェーデン・ヨーテボリ市郊外在住 翻訳家)
これほど広大な国土に恵まれていても、意外なことに、大きな都市の周辺のハイウエーでは朝晩ラッシュアワーがあります。この背景には、男性や若い女性ばかりでなく、家庭を持つ女性のほとんどは働いていて、その多くが通勤にクルマを利用していることがあげられます。
「家庭」と書きましたが、ここには高校を卒業した19歳以上の年代は含んでいません。なぜならスウェーデンでは、男性も女性も19歳で高校を卒業すると、両親の家を出て独立するのが普通だからです。卒業後も両親と同居していると、冗談と多少の蔑視感を含んだ表現で“マンボ”と冷やかされます。“マンボ”とは、“Mama”と“Bo=住む”を合わせた造語“Mambo”です。
両親の家を離れて独立した19歳の若者たちは、ほとんどの男女が気心の合った人とアパートを借りて同居しています。この同居形態は法的にもきちんと認知されていて、“Samboende=samma(同じ)+Bo(住む)”、略して“Sambo(サンボ)”と呼ばれ、同棲を意味します。
つまり、“マンボ”は、“サンボ”から派生した新造語なのです。スウェーデンはフリーセックスの国と日本で思われていますが、これはまったくの誤解、誤報です。同棲といっても後ろめたい、暗いイメージはまったくなく、みな真面目に愛し合った男女関係です。結婚には非常に慎重で、10数年も経って、子どもも数人いて結婚する例はめずらしくありません。
スウェーデンの若者には、新車を乗り回すのは夢物語
高校卒業と同時に就職する人でも、収入は2人合わせてもそう多くはありません。また大学へ進学する人も、ローンを借り、不足分はパートタイムで働いて生活するのが普通で、親の援助を受ける人はごくまれなのです。ちなみに大学は無料です。したがって、ほかの国の若者と同様にピカピカの新車に大いに関心はあっても、彼らにとっては夢物語。20歳そこそこの若者が新車を乗り回している例はあまり見かけません。新車に乗ることより、学資に充てたり、家具や調度品など生活環境を充実させることを優先させるのです。
ただ、スウェーデンには、東欧や中近東からの移民が人口の10%と多く、この人たちは少し価値観が違っています。彼らは、ベンツ、BMW、アウディといったクルマに関心があるようです。
若者たちにとっては、中古車が精いっぱいのところなので、新聞や雑誌、あるいはインターネットのアナウンス欄で、お買い得のクルマを探し出して個人売買するのが一般的です。クルマの専門ディーラーは割高だからです。
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