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公的年金が必要だと実感するとき
いくら老後は自分でなんとかすると努力しても、先の見えない世の中の変化には抵抗しきれない場合もある。人が公的年金を必要だと感じるのは、どんな背景があるのか。
自分の長い人生を見てみると、いいときもあるけれど、沈むときもあるし、予想外のことが次々と起こる。それを全部クリアして、自分でお金を確実に貯められるかというと、大体の人はうまくいかない。預金しても今は金利がつきませんし、株式に下手に投資したら損をします。だから世の中うまくいかないということを少しずつ知るようになります。
そうすると、みんなが助け合いの制度に入って、年を取ったときの基本的な生活保障は公的年金でやったほうがいい、と思うようになる。これは45歳が分岐点で、60歳近くになると圧倒的多数がそう考えるようになります。
でも、若い人に「自分の老後ぐらい自分で」という気構えがない社会というのも困ります。「自分でやれる」と思ってチャレンジしていくほうが社会には活力が生まれるし、健全ですよ。年金システムは、社会のシステムを若者だけの意見を聞いて作ったらうまくないよ、という典型的な例なんです。
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