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皆さん、割に冷静でおられますね。それでは、少し怖いお話を。1929年の株価大暴落当時、多くの人々は自分たちが大恐慌の始まりにいるということを「意識していなかった」といいます。少し厳しい不況ぐらいに考えていたのだそうです。しかし、それからの3年間で銀行が何百行も倒産し、アメリカやヨーロッパの生産高は激減(30%から40%ぐらい)したそうです。それが元の水準に戻るのは何年もたってからでした。
もちろん、現代とは状況が違います。当時の中央銀行は現在ほどの存在ではありませんでしたし、世界の中央銀行がお互いに協力するなどということもありませんでした。これは決定的に違うところです。とはいえ、それで危機を防ぐことができるのかどうかということになると話は別です。それに金融危機は防いでも、実体経済に悪影響が出るのは防ぐことができません。
一般企業に対する融資が厳しくなれば、資金繰りが悪化し、場合によっては生産を抑えざるをえなくなります。それに賃金が抑えられれば、当然、購買力が減り、それが企業の生産を抑制し、そして賃金が減り、また購買力が減って、企業の生産が減少すると、まさに「負のスパイラル」になります。
その上、日本が長年苦しんできたデフレに陥ればもっと大変です。デフレとは物価が継続的に下がることですが、そうなると消費者はモノを買わなくなります。明日安くなるモノは、今日は買わないのです。さらにデフレで売上が減る企業にとって、借金はどんどん負担感が大きくなります。借金は減らないけど、売上はデフレで減るからです。いま世界は、日本を「反面教師」として、デフレに陥らないよう金融危機を早く押さえ込もうとしています。
資金を積極的に運用している方は、金融危機を身近に感じておられるようで、逆にあまり運用に熱心ではない方は、それほどでもないという割にはっきりした傾向が見えるようです。そこで、皆さんにおたずねします。これからの資産の保全あるいは運用はどうお考えになりますか。危ないから株はやらない? 株はこれから買い時? 外貨預金は面白い? それとも怖い?
藤田正美 『ニューズウィーク日本版』元編集主幹 |
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