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先週は暴落が地球を一周しました。しかし月曜日には世界的に株が急反発しました。
月曜日が休みだった東京市場も火曜日には大幅に上昇し、9000円台をたちまち回復しました。もっともニューヨークは火曜日には一服し、それにつられるかのように東京も水曜日には一服しています。そしてこの原稿を書いている木曜日未明の時点ではニューヨークが再び大きく下げ、9000ドルをまた割り込んでいます。
さてこの「円卓会議」は月曜日に2位から始まったものの、株価が上がったとたんに急落しました。株価とこの「円卓会議」の順位は逆相関関係があるようですね。それも当然かもしれません。株価が上がれば、「恐慌が気になりますか」などという問いは見たくもなくなるでしょう。
僕は別にアラーミスト(またの名をオオカミ少年)ではありませんが、株価が急反発したからといって、安心するのはまだ早いと思います。とりあえず、市場が欧米政府の対策を好感したことは事実ですが、個々の金融機関の体質が改善されたわけではないのです。それにもしアメリカで今後多くの銀行が破綻するようなことになれば、政府の用意した資金で足りなくなる恐れもあります。
さらにこれは根本的な問題ですが、もともとの問題は世界にカネが余っていたところにあります。この余ったカネというのは新興国(とりわけ中国)の貯蓄です。こうしたカネがあったからこそ、世界経済の発展が著しかったにもかかわらず、低金利の時代が続いたのです。そして低金利の時代が続いたからこそ、高利を求めて飛び回る資金があり、それらの資金がレバレッジ(要するに借金)で元手を膨らませて、より利回りを高くしようとするような動きが生まれたということができます。
このカネ余り現象そのものが消えてなくなるわけではありません。つまりこのアンバランスは残っているわけで、それを経済がどう調整するのか、その行方はまだよく見えないのだと思います。今年のノーベル経済学賞を受賞したアメリカのポール・クルーグマン教授は、恐慌は避けられたが、厳しい不況が続くというようなことを語ったそうです。カネ余りということからすると、インフレと不況が併存するスタグフレーションということになるのでしょうか。
それと金融ではなく、実業の部分がかなり痛んできているようです。自動車がその典型ですが、これから耐久消費財はもちろん、企業の設備投資も抑えられるでしょうから、資本財などにも相当影響が出てくるでしょう。日本は傷が浅いと、麻生さんはよく国会答弁していますが、そんなことを言っていられるのも今のうち、ということにならなければいいのですが。
さて皆さんにおたずねします。たとえばある程度、100万円の資金があるとして、皆さんはそれを日本円で運用しますか、それとも海外通貨で運用しますか。お聞きしたいのは10年後の日本の地位は、今よりも高くなっている(円高)と思うのか、それとも低くなっている(円安)と思うのかということです。このあたりの考え方によって、この金融危機に対処する仕方も違ってくるかもしれません。
藤田正美 『ニューズウィーク日本版』元編集主幹 |
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