みなさんのご意見の中に「お金の運用をしなかったことに対する後悔」がありました。そして、「知識がなかった」ことによる失敗を認識されています。
しかし、運用しないことは失敗だったのでしょうか。逆に安易に運用したことによるお金の目減りリスクを回避できた。そのようにも考えられます。
日本は1990年代から2000年代始めにかけてデフレでした。つまりさまざまな理由から物価の値下がりが続いたわけですね。相対としてお金の価値が上がりました。金利が低いといってもデフレ下ではお金の目減りはしていない。その認識がもてれば、普通預金口座にお金があったとしても著しく不利だったとは思えません。
運用すれば必ずお金を増やすことができるとの思い込みが危ないと思います。 運用の前に「手数料」などのコスト、リスクへの理解、対策を検討してからエントリーすべきではないかと思います。
リスクにはいろいろあります。まずは誰でもが想定できるリスク。株であれば買った途端、下がるかもしれないとか手数料倒れにならないようにしようとかもらえるはずの配当がもらえなかったらどうしようというような、ちょっと考えれば思いつくようなリスクです。
次に「え、そんなことがあるかな?」というやや想定しにくいリスクがあります。投資先の工場で製品不具合が出たとか、内紛があるとか、景気の流れが変わって競争力がなくなったなどです。
さらに次はもっと不透明なリスクです。競争優位であったはずの相手先二社が合併し、自分が投資の対象に選んだ会社が大きく引き離され、減収減益のリスクが生じる可能性が出てきたようなとき。海外の有力企業が日本進出し脅威となったようなとき。
そういう場面に遭遇したとき自分はどうするか? と検討して備えるわけですが、それでも取り除けないリスクがあります。誰もが予測しなかったリスクです。日本では上り坂、下り坂とまさかに備えよ、との考え方がありますが、そのまさかのときにどうするか? これが失敗学の究極の目的ではないかと思います。
さて、そこで「まさか?」というようなお金の失敗があったら教えてください。 想定し得ない失敗。それはどんなものだったのか? そして、そのとき、どう対処したかなどの経験談があればぜひ!
木村佳子 株式評論家 ファイナンシャルプランナー |
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