「当たり前」に疑問を持つ人たち

めぐこさんは「『価格破壊』を創った人」が起業家として共感すると指摘しています。確かに、多くの起業家はこれまでのビジネス慣習を打ち破って新しい商品やサービスなどを打ち出して新しい市場を開拓しています。

女性経営者の先駆者のお一人で、和服に革命を起こした鈴乃屋の小泉清子社長は、終戦直後の東京・上野の焼け野原からの出発点でした。着物を一緒の仕事にしようと思ったのは、焼け跡をモンペ姿で歩く女性を見かけたのがきっかけでした。「平和になったら、女性は美しくならなければ」と直感したそうです。

「タンスに眠っている古着を洗い張りと染め替えで蘇らす」という小泉社長の発想は時代の要請に合ったわけです。当時は、洗い張りは2〜3カ月かかるのが普通だったのですが、常識破りの「一週間で洗い張り」のアイデアを打ち出し、顧客のこころをとらえたのです。ただ、保守的だった業界で一週間での洗い張りを実現するまでの努力は並大抵なものではなく、従来必ず通していた問屋を通さず、染め元と機屋と直接、取引きを始めることに成功したのです。今で言うところの、産地直送ということで、一種の流通革命です。

このような従来当たり前とされていたことに疑問を持っておもしろいアイデアを打ち出した起業家といえばどのような方がいらっしゃると思われますか。