
付き合いや心遣いも大切にしながら(宮里砂智子・神奈川・既婚・31歳)
ネットだけで仕事はできない、そう感じています。もちろん完全にネットだけのやりとりのお仕事もありますが、挨拶に始まって、打ち合わせや不備の連絡など、どうしてもアナログのコミュニケーションの必要性があります。最近在宅での仕事を希望している方の中には、「会社ではないから人との接触がなさそう」と思う方も多いのですが、そんなことはありません、と声を大にして言いたいです。ネットだけではないお付き合いや心遣いも大切にしながら、仕事をするようにしています。
TPOをわきまえて使う(hirororo・神奈川・既婚・42歳)
わたしもデータ入力などのアウトソーシングの請け負いをやっていますが、仕事そのものはネットだけで十分でも、スタッフの面接、ライターさんや業者さんとのコミュニケーション、クライアントとの交渉や緊急の対応、トラブル処理などは、メールだとかえってお互い感情的になってしまうことがあるので、必ず電話で話し、実際に会って話すことを大切に考えています。
「声のやわらかさ」「口調」「その人からにじみでる人のよさ」などは、メールでは表現できません。肌の温度を知ることで、お互いわかり合えたり、誤解を少なくすることができると思います。事務連絡はメールのほうがいいケースもありますが、自分に落ち度がある場合の連絡なのに、ポンとメールだけ送って、かえって相手を怒らせてしまうことがあります。ネットも電話も実際に会うのも、すべてコミュニケーション手段としてTPOをわきまえて使うのがいいと思います。
ちゃんと入金があるかが心配になることも(Schakra)
フリーランスで翻訳を行っていますが、どちらとも言えないと思います。打ち合わせもメール、原稿送付もメール、すべて瞬時に行えます。また、打ち合わせた内容もメールという形で保存できます。非常に便利だとは思います。ただ、仕事相手は顔を会わせたことのない人がほとんどのため、時々、ちゃんと入金があるかなど、非常に心配になるのも事実です。最後までクライアント(小口)の電話番号とメールアドレスしか知らないまま仕事をしたこともあります。幸いきちんとした方で、料金の踏み倒しはありませんでしたが。
やはりわたしは、実際にクライアントのところに出向いて、顔を付き合わせ、打ち合わせをすることは重要だと思います。ただ、インターネット利用が広まりを見せる今、将来は地方に隠居して、ネットで翻訳をして人生を送ろう……なんて考えている自分もいます。これはネットのおかげですよね。
ネットで得られるものは情報(Kit・53歳)
ネットだけで……この「だけで」が引っ掛かかります。本来、ネットで得られるものは情報ですから、これだけでは不十分ですよね。仕事のアウトプットはやはり人さまのお役に立つことですから、情報の操作加工だけで仕事をしたことにはならないと思います。ネットワークの活用は人とのつながりと情報のつながりにあると思います。
「体温」がうまく相手に伝わらない(トッシー・東京・既婚・45歳)
外資系コンピューター・メーカーを退職して、はや8年。以来、テクニカルライティング、技術翻訳、ローカライズなど業界のさまざまな仕事を引き受けています。また、小さな学会の事務局の仕事も依頼され、講演会やセミナーの運営企画、事務の雑用などもインターネットのおかげで自宅で行っております。
しかし、ネットの悲しさはこちらの「体温」がうまく相手に伝わらないため、仕事上の依頼を約束どおりに行ってもらえない、守ってもらえない、ということがままあるということです。顔が見えないぶん、約束を破ったとしても、あまり悪びれていないことがよくありますし、問い合わせても放って置かれているようだったり……。
結局、たとえ声だけでも(できれば顔も)定期的に掛け合うことがないと、お互いの信頼感は生まれにくいのではないでしょうか? その代わり、いったん信頼関係が築けてしまえば、たとえネットだけの関係が何カ月続いてもOKだと思います。わたしとパートナーはそんな関係です。みなさまの体験を知りたいと思います。
コミュニケーション能力が低下(ぶー)
わたしはSE(システム・エンジニア)ですが、ネットで仕事ができるようになり、ずいぶん楽になりました。お客さまとの打ち合わせ資料を事前にメールできたり、プログラム修正をわたしたちがサーバーにアップして先方に確認していただくなど、利点はあります。しかし、お客さまとのコミュニケーションが少なくなる、コミュニケーション能力が下がってくる、などのデメリットもあります。やはり悲しいのは、いろんな方々に直接お会いして、感じて学ぶ、真似るチャンスが少なくなることですね。
「面接試験」がある意味を考えると(Kylin・大阪・既婚・44歳)
ネットでのコミュニケーションは、時間・地理に左右されることがあまりありませんが、いわゆる「脱線」ができません。わたしの仕事は設計やデザイニングがメインですが、クライアントのちょっとした一言や仕草がヒントになる場合があるのです。ネットだけで事足りるならば、「面接」というものがなくなってもいいはずなんですが、いろんなシーンで存在するということが、事務的な要素だけではビジネスが進まない何よりの証拠だと思うのです。
一定の距離までしか縮められないネット(あるばーと・神奈川・既婚・36歳)
ネット上のコミュニティーができて、あるステージをクリアすると、必ずオフ会なる行事が到来するように、ビジネス上でもリアルコミュニティーは必要だと思います。たしかにさまざまな物理的制約がある中でのネット利用は、二者もしくは他者間の距離を縮めるという非常に大きなメリットがありますが、ある距離以上の短縮は難しくなるような気がします。これをうまく使うこともありますが。わたしの仕事のネット依存度は1日2時間程度でしょうか。
ミーティングで理解が深まる(unagiinu・東京・パートナー有・33歳)
現在、社外の人も加わった形で仕事をしていますが、途中経過はネットでやっているものの、月に一度はミーティングがあり、ミーティングがあるから理解が深まっている気がします。同じ仕事にかかわる人間が多いと、ネットだけでは理解に差がつくので難しいと思います。個人レッスンのようなマンツーマンの仕事ならば、ネットのみでいいかもしれませんが。
微妙な言い回しに苦戦(ぴんぽんぱん・東京・39歳)
コンピューター関連の仕事をしておりますが、インターネットだけの微妙な言い回しで苦戦したことあります。特に海外の方とのメールのやり取りは国際電話だけのころに比べ格段に生産性も上がりましたが、ここという決め手になるときは、電話での声を聞くことがいい時だってありました。コミュニケーションのそれぞれのよさを使い分けつつ、ネットのよさを認識したいものです。その上で、人同士のコミュニケーションを大切にしたビジネスを続けていきたいと思います。

プロとしての自己管理が必要(ジョゼフィーヌ)
電話とメールがあれば、たいていの用事は済んでしまうので、その気になれば可能だと思います。現に、もう何年も電話とメールのやりとりのみで何年も顔すら見たことがないという得意先の人もいます。そういうわたし自身は毎日、オフィスに出社しているのですが、ネットだけなら人間関係のわずらわしさもないわけだし、子育てや介護などのハンディも少なくなるのでは、といいことづくめのような気はしています。ただし、仕事のクオリティはもちろん、スケジュールの自己管理まで、一人ひとりがプロフェッショナルでなくてはならないでしょうけどね……。
「決まりごと」さえ押さえていれば(callista・神奈川・未婚・26歳)
現在、ネットのとあるサイトで、編集・企画、ライティングなどの仕事にかかわっています。仕事上のやり取りはもちろんですが、原稿の受け渡し、校正、連絡などもすべてネット経由です。わたし自身は、まだまだ慣れていないので、時折、編集長のオフィスで、企画を練ったり、打ち合わせをしたり、という感じです。もちろん、取材などにも出ますけど。
わたしの友人は、結婚後、地方に引っ越しましたが、原稿の受け渡しや校正の仕事に関しては、ネットならわずらわしくないので、いまでも仕事を続けています。ここで、わたしが苦労しているのは、「ネット上の決まりごと」。まず、メールや書類(企画や原稿)、そしてネットのホームページ上の校正など、すべての仕事がネットにかかわっていますから、そのルールをよく知っておかなければいけない、ということです。メーリングリストの使い方、CCの付け方、校正や企画の指示書の書き方など、これまで紙媒体で、人と会って仕事をすることが多かったので、まだまだ慣れずに、失敗も多いです。メールや確認事項に関して、何らかの反応をしていかないと、誰もが、全体がどのように動いているのか、わからなくなってしまうんです。オフィスなら、回覧で、ハンコを押したら了解した、という確認になるのですけどね。
指示書なども、文面ありきなので、読んでわかる説明をしていかなければなりません。自分の説明下手に、いつも申し訳ない、と思ってしまっていますが……。一人でネットを使って仕事をする、ではなくて、ネット上でさまざまな人と物を作る、というのは、たしかに大変ですが、こうした、「大切なこと」の確認が、スムーズにいけば(自分ができれば……)、もっと心理的にも楽に、仕事ができるかな、と思っています。お互いに障壁を感じずに、仕事ができる環境ができれば、ネットだけの仕事も広がるかな、と思います。