
記憶に残るのは映像や主人公の描かれ方(mamarin)
テオ・アンゲロプロス監督です。したがって好きな作品は『霧の中の風景』と『永遠と一日』です。両方とも静かな中に流れるマグマのような感情の渦が映像や主人公の描かれ方とあいまって忘れられない場面として記憶に刻まれます。まさしく映画ならではのすばらしさではないでしょうか。
レオス・カラックス監督も好きです。それは良い意味でハッとさせられるシーンを撮れる人だからです。また、偽りを嫌い、仮面をかぶって暮らしているわれわれ現代の大人たちに問題をつきつけてきます。
アラン・パーカーも好きです。さわやかに軽やかに人間の優しさ、悲しさ滑稽さを描く監督だからです。ちなみに主人はタルコフスキーの『ストーカー』が無比無類の最高傑作だといつも断言しています。
ちょっと変わった主人公に興味あり(ORYU・関西・既婚・33歳)
基本的に大感動作より、笑って泣いて歌って踊る、ちょっと変わった人の作品に影響を受けています。黒澤明の『七人の侍』は、むかしの日本映画ですが、チャンバラ映画がこんなに面白いのかとショックを受けました。世界に誇れるかっこよさを感じました。
『バグダッド・カフェ』を観て、手品と笑いで周りの人を幸せにする女主人公のようになりたいと思っています。『ブルース・ブラザーズ』は、孤児院を救うために、ちょっと方法が荒っぽいけど、全力を尽くす2人は最高におもしろいいです。最近はアメリカ映画にこんなパワーの作品がなくなりましたね。
『摩天楼を夢みて』はマネジャーのバイブル(pochieve・東京・既婚・50代)
アメリカのビジネス社会の厳しさを知るきっかけとなった作品。不動産販売セールスマンの物語。常に契約を求め、“Always Be Closing! A,B,C!”としった激励する上司。契約できないのは会社のせいだと嘆く老セールスマン。1990年前半、自分がセールスマネジャーとして活躍していた頃のバイブルでした。
将に欧米狩猟民族の報酬に対するすさまじさ、一方、日本農耕民族の年功序列型報酬。皆んな横並びのぬるま湯的世界。今でも通用する世界と日本のセールに対する文化の違い。セールスを罪悪として捉えがちな日本。売ることに貪欲な欧米セールスマン。主張しない日本人、自己を強く主張する欧米人。
どちらが良いとか悪いではなく、セールスに対する文化の違いを感じ自分を見つめ直し、部下を教育する教材としてよく観たものです。マネジャー職になりつつあるみなさんの参考になる作品かもしれません。
とにかく学ぶことだらけ(xtckids・神奈川・未婚・30代)
なんといっても『山猫』。ヴィスコンティの作品です。とにかく圧倒されました。彼の作品は、出資会社を次々とつぶすほど、お金を注ぎ込んで、本物を追い求めていたもの。素晴らしいですね。それからは、偽者はいらないとつくづく思いました。彼は、美しい場面ばかりではなく、汚い部分(貴族のトイレ事情)や、時代の移り変わりによる、支配階級の世代交代など、さまざまなことを見せてくれました。本当に、感動します。人によってはただただ、豪華なだけとか、貴族趣味的という意見もあると思います。確かにそういう部分もあります。でもそれでも、セットでは味わえない、ダンスシーンは圧巻です。
政治への興味をかきたてられた(ローズマリー・東京・34歳)
高校生の時に見た、『スミス氏都へ行く』という古い、モノクロのアメリカ映画です。田舎でボーイスカウトの指導のようなことをしていたリーダー的存在の若者が、子どもたちのためにもっと何かをしたいという純粋な希望をもって国会議員に選ばれ、首都ワシントンに乗り込むのですが、そこで知らないうちに大物議員達の利害に巻き込まれ、さまざまな妨害をされながらも、純粋に自らの信じる道を進もうと戦う姿を描いたもの。
感動して涙がたくさん出ました。この映画は確かに現実離れしてはいるのですが、民主主義とか、政治理念とかそういうことへの興味をとてもかきたてられ、結局大学の時もそういう分野を専攻しました。政治への参加がこういうものだったら理想的だなあと今でも思い出すことがあります。とにかく初めて映画っていいなあと思った作品でした。
『ローマの休日』(moco)
初めて観て、すごく衝撃を受けたのは、ありがちですが『ローマの休日』。特にファッションはすごく新鮮で、サブリナパンツとフラットシューズの組み合わせは、頭に刷り込まれています。そのころ、わりと重ね着全盛だった時代なので、あのシンプルシックな装いを取り入れるとすごく自分らしく、心地よくなったものです。
映画のヒロインたちから学ぶ魅力(january)
フランス映画やイタリア映画のヒロインたちからはセクシーさが溢れていて、そのさりげない見せ方を参考にしています。今で言えばモニカ・ベルッチのセクシーさってすごいですよね。ソフィア・ローレンもそうだったし。日本にはセクシーという概念が希薄じゃないですか。そういう意味で映画の中で「さりげないセクシーさ」を知り、それを意識できるようになったので、映画の影響はすごく大きかったと思っています。
今の仕事に導いてくれた『長靴をはいた猫』(ちっぽ)
子どものころに観た東映まんが祭りの『長靴をはいた猫』です。テレビの30分アニメと違って長編のアニメ。しかも映画館のスクリーンはテレビよりずっと大きい。小学校低学年だったわたしはこの映画を観て、長い時間、現実から離れて童話の世界に心を遊ばせる喜びを知りました。それから童話や児童文学の世界に興味をもち、今は図書館の子ども室で働いています。
『メトロポリス』で映画に目覚めた(abovo・欧州・独身・30代)
映画によって人生が変わったわけではありませんが、映画のおもしろさを知って人生に豊かさを覚えたように思います。映画のおもしろさを知ったのは、『メトロポリス』。近未来を描いたオリジナル版では、1926年の製作とは思えない内容の面白さ、セットの素晴らしさなどに圧倒されました。映画がどれだけ表現の可能性を秘めているか、ワクワクしたものです。
むかしは地方に住んでいたので映画が身近に観られる環境でなく、読書が人生最高の楽しみでした。でも、大学進学で上京し、映画館に通うようになってこの映画に出会い、以後、読書とは違った人生の楽しみを観つけたように思いました。
その後、オリジナル版をテル・アビブ、そしてロンドンで観る機会があったのですが、国や文化の背景が違っても、同じ映画をおもしろいと思い、その感動を共有できることの喜びを体験できました。
これも映画が、そしてこの作品が好きだったから味わえたものだと思います。オリジナル版は無声ですが、テル・アビブでは音楽がピアノの生演奏だったのも印象的でした。最近日本ではシネ・コンが人気だと聞いていますが、名画を身近に観られる環境が整えられて欲しいものです。また、邦画にもがんばってほしいものです。
『黄昏』で理想の夫婦のあり方を見出した(kuniwaka2001・神奈川・既婚・31歳)
わたしも映画がないと生きていけない人間の一人です。小学生のころから、洋画と邦画を7対3くらいの割合で観てきています。そんなわたしが小学生か中学生のころからいまだに何度も繰り返し観続けているのが、『On Golden Pond』(邦題は、『黄昏』)です。ヘンリー・フォンダと、キャサリーン・ヘップバーンが主演です。
なぜこの映画が好きかというと、映画全体の世界観というか、雰囲気好きなのと、奥さん役のヘップバーンが、ちょっとひねくれもので扱いにくいご主人(フォンダ)のよさを知っていて、とても愛しているところ。そしてそのご主人も、奥さんのことをとても必要としているところです。こんなに年をとってもお互いに必要とし、愛し合えるなんてかっこいい! わたしたち夫婦も、こんなふうになりたいと思っています。
一本の映画に歴史あり、芸術あり(bori)
わたしの心に残る一本は、『愛と哀しみのボレロ』です。初めて観たのは小学校低学年のころでした。音楽とバレエに興味を持っていたので観たのですが、ナチスの時代の悲しい出来事をこの映画を通して知ったようなものでした。子どものわたしにすれば、セリフが少なく、映像も薄暗いイメージの映画でしたが、音楽やバレエの描写に、うちに秘めた激しい情熱を強く感じたのを覚えています。そのおかげなのか、『ボレロ』は今でもわたしの大好きな曲です。静かなのに胸の高鳴りを感じ、聴いていると安らぐというよりエネルギーを消費しているように感じる一曲です。
初めて異文化に触れた(ふみてん・東京・32歳)
『リトル・プリンス』(1982年)は、小学生のときに親に観せてもらった映画です。それまで「同じ顔」と思っていた英国人と米国人の社会や文化に、大きな違いがあることを知った映画です。伯爵である祖父が、小公子と米国人の母とが一緒に住むことを許さない、という、英国の階級社会の厳しさを意識しました。その反面、祖父と母が心を通わせる場面では異文化に育った者同士でも、必ず理解し合えるのだと感動しました。この直後に自分も親の転勤で英国に住むことが決まったので、余計に印象深いのかもしれません。
やっぱり名作は何度観てもいい!(ちびプリ・独身・20代)
『ニュー・シネマ・パラダイス』です。こういう話題になると、必ず挙げられる映画で、芸がないようなのですが……。何度も観ていますが、数年前、仕事や恋愛で嫌なことがいろいろと重なって、ちっとも思い通りにいかないっ! と疲れ果てていました。ふと、この映画を思い出し、久しぶりに観てみたところ、ラストでは大泣きして(お約束ですが……)、人生捨てたもんじゃないさ、くらいの気持ちになって、元気をもらえました。
感謝することを教えてくれた『リアリティバイツ』(bookwell・未婚・30歳)
学生時代と違って、社会に出た途端うまくことが進まなかったり、社会(現実)の厳しさに直面したり、ほんと毎日、壁、壁、また壁……。そんな主人公の周りには、けして多くはないけれど、とてもナイスなボーイフレンドや親友がいる。日常の当たり前だった彼らの存在が、壁にぶつかるごとにありがた味を覚えるようになって……。社会は厳しいもの! です。でも気持ちのいい人たちに囲まれていることに感謝して、また明日もがんばろう! と励まされたものです。