
ムーア監督が言いたいことに、常に興味あり(たかれい・東京・パートナー有・35歳)
ムーア監督が言いたいことに、とても興味があるので、見てみたいですね。ムーア監督のインタビューを読むと、彼は非常にまじめで純粋だなと思います(その表現方法はおいておいて……)。そして前作の『ボウリング フォー コロンバイン』と共通するテーマとして「既得権益を手放さない人間のエゴに対する怒り」を作品化している気がします。
実は高校生の頃、ムーア監督の故郷フリントを車で通ったことがあるのですが、シンボルの水道タワーがぽつんと立っている、お世辞にも豊かとはいえないさびれた町という印象を受けました。少年時代、こういう町でまじめにやっても経済的苦労をしている周囲を見て育ち、社会に出てみたら、実は既得権益をかさにやりたい放題やっていた人がいたと知って、一石を投じたくなったのでしょうか? また、その気持ちにある種の普遍性があるから、あらゆる国で受け入れられているのでは?など想像力を膨らませながら監督の動向を見守っています。
悪いことは悪いといえる愛国者(夢・アメリカ・パートナー有・44歳)
米国でも公開前から下馬評が高く、最も注目を集めたドキュメンタリーと言っても過言ではないと思います。
公開前の配給先のドタバタ劇も記憶に新しいのですが、次から次に立ちはだかる壁をひとつずつ取り壊しながら、やっとこぎつけた公開初日に、夫と一緒に観賞しました。映画が終わると、ほとんどの人たちが立ち上がり大きな拍手が沸き起こりました。今まで、このような経験をしたことがなかったので驚きましたが、同士というか、同じ考えを持っている人がこれだけいるんだと感激しました。他方で、これが真の言論の自由であり、悪いことは悪いといえる勇気ある愛国者なのだと。
米国は、民主主義の国でありながら、超越した資本主義の国で、貧富の差が激しく映画の中でも紹介されたように、多くの若い軍人たちは、恵まれない家で育った人たちなのです。常に戦争は海外で、ほとんどの米国人は戦争の悲惨さや悲劇を経験したことがなく、戦争という言葉の重みが、わたしたち日本人とはまったく違うと思えてなりません。もし、イラクが石油生産国でなければ? どうしてイラクと北朝鮮では対応が違うのか? 多くの疑問を感じています。
日本にもムーアがいればなあ(ぺろり・神奈川・パートナー有・38歳)
ドキュメンタリーに必要な冷静さに欠けるきらいはありますが、マイケル・ムーア監督が感じる「このままブッシュにアメリカの舵取りを任せていたら危ない」という危機感が伝わってきました。この危機感を伝えることが、『華氏911』のすべて、ではないかと思います。またその危機感を正攻法で伝えようとしても、ごく一部で「良心的な作品」で片づけられてしまう気もします。だからちょっとはしゃぎ過ぎとも思える演出・宣伝の手法も伝えるためならば、「あり」の手段だと思います。日本にもマイケル・ムーアみたいな映画監督がいればなあ。
心からの共感ではないけれど、勇気ある行動(まつげ・神奈川・パートナー有・36歳)
ムーア氏のユーモアのセンスもいいと思うし、よくぞここまで調べ、レアな映像を見つけることができたものだと感心もしながら観ました。でも、ひとつ気になることがありました。映画に登場した女性の、「自分の息子を奪われたから戦争は良くない」とする主張と、ムーア氏のメッセージとが、戦争反対論としては根本的に違うのではないかと思ったのです。わたしは戦争は人を殺す行為なのだから良くないと思いますし、そういったメッセージを望んでいたので、この映画に心からの共感はできませんでした。全人類的なメッセージというよりは、あくまでアメリカ的視点からのメッセージに留まったというか。それでも、ムーア氏の映画制作は勇気ある行動だと思いますし、普通に暮らしていたわたしたちが知りえないようなことまで、この映画は教えてくれ、考えるきっかけを与えてくれると思います。まだの方はぜひ。
彼の批判的思想が入った『華氏911』(K-CRAFT・東京・パートナー有・41歳)
先々週、銀座で観ました。満席で立ち見の人もいた状況。ドキュメンタリー映画ですが、マイケル・ムーア監督の批判的思想が多分に入っていた印象。米国では共和党も民主党もテロに対しては屈しない姿勢でしょうが、テロや戦争に対してや、政治家と裏で動くお金との関連ついてなど、改めて考えさせられる機会を得ました。でも、あまり後味が良くなかったのは、政治批判的な色が濃く、テロや戦争で亡くなられた方々や遺族の方々に対して、悼みを感じ、祈りを捧げる気持ちが薄い印象であったからでしょうか……。