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「アニマルアシステッドセラピー」という言葉が聞かれるようになって、すでに数年が経過したでしょうか?いろいろな側面からおぼろげなイメージでとらえられた、「アニマルセラピー」という言葉がなじみ深いかも知れません。実際には「動物介在療法」のことを指すので、正しくは「アニマルアシステッドセラピー」といいます。しかしながら、このセラピーが実際に行われている現場は日本では数件だけです。なぜなら、これらのアクティビティーはアニマルアシステッドアクティビティー(AAA)、アニマルアシステッドセラピー(AAT)、アニマルアシステッドエデュケーション(AAE)に大別されて、それぞれに目的とすることが違うからです。この中のAATではあくまで医師の処方のもとに人間の病状に対して、医師が介入して獣医師と共に行われるものです。
ですから、言葉の上で「セラピー」が有名になっていますが、実際の施行件数はまだまだかなり少ないものなのです。全国の多くの地域でさまざまな団体などによって行われているのはアニマルアシステッドアクティビティーにカテゴライズされるものだとおもいます。つまりは、その活動も動物を介して、外界とのコミュニケーションをはかったり、よりよい質の暮らしを切り開いたり、子ども達の情操教育の糸口になったり、という活動なのです。その範囲は非常に広いものからターゲットを絞ったものまで、さまざまにあるという事なのです。
日本でもっとも早く、AAAに着手したのは社団法人日本動物病院福祉協会でした。この会では1986年からAAAを本格的に開始して厚生労働省の認可を受けています。こうした活動が始まった頃は一般的なものではありませんでしたが、現在に至り、社会の中でも家庭の中でも人間の心の問題がクローズアップされ、本来あるべき姿や、これからどのように生きていくのが良いのか、子ども達に何を伝えていくのか、というようなテーマに多くの人々が関心を寄せざるをえない状況が浮かび上がって来るに連れ、こうした活動の重要性が注目されるようになってきました。私たちの日々の生活をとりまく、あらゆる社会問題と人の心の問題とは切っても切り離せないものがあると感じています。これから一週間、ぜひ皆さんと一緒にこうした心の問題と動物介在について考えていきたいと思います。ご意見お待ちしています。