ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第10回 藤田正美さん

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藤田正美さん
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印象に残る取材
- 佐々木
印象に残っている取材とか、あの取材おもしろかったな、と記憶に残っているものはあるんでしょうか?
- 藤田
記憶に残っている取材には二通りあって、一つはおもしろい人、それからもう一つはおもしろい事件。事件のほうは、それこそ裏の取材から何から全部あるから。人という意味ではね、もう亡くなったんだけど、トヨタ自動車の花井正八(はないまさや)さんという、当時副社長だった人がいらっしゃって、最初に彼の取材に行った時に、僕の中にトヨタに対するちょっとした敵対心みたいなものがあったんです。
- 佐々木
それは藤田さんがおいくつの時ですか?
- 藤田
28歳か29歳ぐらいだったかな。その時、花井さんが副社長を辞めるという話があったので、副社長を辞めてどこに行くんだろうというのが、業界で話題だったわけですよ。それで僕は、会うなり「はじめまして。ところで花井さん、辞められるそうですね」っていきなり聞いたら、「お前、会った早々に、辞めるとか辞めないとか、そういう話するなよ」って言われてね。結局それが、すごく可愛がってもらうきっかけになったんだけど。そういう意味では、すごく印象に残る人でしたね。
それから足しげく取材に通ったんだけど、行く度に「お前、今日は何を教えてくれるんだ?」と聞いてくれる。若造に対して、これはなかなか言えないせりふですよ。すごいなと思いました。
- 佐々木
そんな方はなかなかいらっしゃらないでしょうね。
- 藤田
あと、日本郵船の昔の会長で、有吉さんという方も思い出に残っています。有吉佐和子さんのご親戚でもあり、有名な人だった。朝の8時に取材に行くと、「眠たそうだな」と言いながらも、「今日は何を教えてくれるんだ」って聞いてくれるのね。聞く側は僕のほうなのにそう言うわけ(笑)。
やっぱりすごい人って、どんな人間に対しても興味を持ってくれる、そういうところがあるな。謙虚と言ってしまうと、すごく一般的だけれども、やっぱり、ある意味では知的な興味というのを失わない人ですね。
花井さんにしても、20代の若造を相手にするなんて、僕が最後だったでしょう。ぺーぺーが取材に行って、50いくつの経営者が「今日は何を教えてくれるんだ」、「おう、それはおもしろいね」と言ってくれる。有吉さんなんかはもう当時60すぎのおじさん。やっぱりすごいなと思いましたよ。そういう人は非常に印象に残っていますね。
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