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平田 オリザさん
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演劇をやらないと医者になれないっていう
- 平田
もちろん、一つは、大学院の共通科目で始まったので、将来的には、これを全学必修にしていくんですね。だから、演劇をやらないと医者になれないっていう。
- 佐々木
それは、すごくいいことですね。
- 平田
弁護士にも、なれないという。今、そういう授業のプログラムを作っているんですね。例えば、今、それのモデルケースでやっているのは、1学期間、毎週メニューが変わって、3時間ずつ、演劇を体験したり、その次の授業の時には、ホームページを作るんではなくて、ホームページのデザイナーにどう発注すればいいかを3時間で学ぶ。
だから、学生、特に科学者の卵達なんかに、例えば「アーティストとどう付き合うか」なんて言っても、ほとんど関係ないけれども、ホームページを発注するっていうことは、やらなければならない。でもデザイナーもアーティストですから、そうすると言葉が通じないわけですよね。
その時に、どうすれば言葉が通じるのかとか、デザイナーっていうのは何を考えているのかっていうのを、大学院生レベルで知っておいてもらうっていうのは、非常にやっぱり大きいですね。
例えば、別の授業では、今、これは僕と工学系の方が一緒に開発しているんですけど、メーリングリスト上で、よくいろんな齟齬が起こりますよね、言葉の上での。それをトレーニングするプログラムで、メーリングリスト上で話し合いをするんです。
これは、NASAに元ネタがあるんですけど、月に不時着した宇宙作業者が、ランデブー地点まで行くのに何を持っていけばいいかって。15品目あって順位づけるっていうゲームがあるんですね。それをメーリングリスト上で行うんです。
最初に自分でまず順位をつけて、その順位をインプットすると、教室の中でランダムに4人ぐらいで1グループに分かれるんですね。そういうのはコンピューター操作で簡単にできるので、その人達の合計点が出て、まず自分の個人のもの、それから話し合う前の機械的に集計した順位、それから話し合った後の順位っていうのが出て、これは段々よくなっていくんです。
しかも、理系の子はちょっとだけ成績が下がるんですよ。でも、チーム全体としては向上するから、生き残る確率は高くなるんですね。
そうすると、理系の子がどうやって文系の子を説得していくかとか、文系の子が何が分からないのかってことがあって、それをメーリングリスト上でやると、それが全部記録にも残るし、対面ではなくてやらなきゃならないので、誰が文系か理系かも分からないんです。一つの教室で、コンピューター上で皆やっているから。そういうソフトを開発したりしています。
- 佐々木
すごくおもしろいですね。
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