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平田 オリザさん
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哲学カフェというのをやっているんです
- 平田
これは、まだ始まったばかりなんですけど、本当にうまくいくと、全国の高校とかで、できるものなんです。
- 佐々木
それもやっぱり、知らない人同士の対話であって、当然、知らない人同士が対話をすることによって知恵が増えていくというか、積み重なっていくということを、技術として学ぶっていうことですね。
- 平田
そうです。あと、実際に、カフェというのをいろいろやっていて。大阪大学は昔から哲学カフェというのをやっているんです。全然知らない人同士が集まって、その日、例えば「愛とは何か」とか、先端医療の人を呼んできて、「尊厳死は許されるか」とか、そういうのをやるんですけど、これはもう基本的に、プロフェッショナルの側は、何かを教えるわけではなくて、ファシリテーターなんです。全員が対等で、別に意見を言わなくてもいいんです。ただ聞いているだけでもよくて、別に結論も出さないで、2時間話して終わりっていうのを今まで散発的にやってきたんですけど、今年から、1個教室をもらって、そこの教室もすごくおしゃれにして、毎週水曜日に、今はカフェを開催しているんですね。
第1週は哲学とか、第2週はサイエンスとかになっていて。段々増やしていって、来年の秋以降は、ほぼ毎日、とにかくそこに行けば何か議論をしているっていう場所を作るんです。
- 佐々木
イー・ウーマンでは、働く人の円卓会議っていうのをやっていて、6人の専門家が毎週登場して、サイト上でテーマを投げかけるんです。今のカフェに似ていると思ったんですけど。
例えば、田村先生という法律の先生が、「憲法は、国民が守るべきルールだと思いますか?」って問いかけて、1日目に、彼が、なぜ、それを問いかけるかを表明すると、皆が「イエス」「ノー」って票を入れたり、「イエス。私は何々だ」とか「ノー。なぜなら私は何々だからだ」っていうのが集まってくる。これをうちの編集で全部読んで、「守るなんて、当たり前じゃないか」「みなそうだろう」といった根拠の不明な投稿は掲載せず、どんな意見でもかまわないけれど、”I statement”で書かれたものだけを5〜8個選んで掲載する。
そこにまた田村先生がコメントを寄せて、さらにディスカッションを見ていた人が投稿を重ねてって、ということを毎日やっているんです。全然知らない人同士が、世界中からオンラインで集まり、意見交換して、1週間で知恵を貯めていくという仕組みなんです。
- 平田
それは、まさに同じですね。そして、先程おっしゃられた「守るなんて、当たり前じゃないか」っていう意見も出てくる。街でやるんで、そうすると本当におもしろくて。
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