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平田 オリザさん
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演劇を作らせて、その作る過程を評価するっていう入試に変えたんです
- 佐々木
自分の人生をどういう風に描き、演出していくか。でも、やっぱり、そこに行きつくまでに、いろいろな人生体験も積まないと、なかなか難しいんでしょうね。だからまさにお医者様の卵が、「医師になったんだけど、患者さんにどうやって話しかけていいのか分からないので」と、田舎のおばあちゃん達の脈をはかる練習からしています、というのと同じでしょうか。
- 平田
それから、資質もあるんですよね。今みたいに、偏差値が高いから医学部に行くっていうのじゃ、やっぱり困るので、将来的には、入試とかも変えていかないとダメですよね。
- 佐々木
ああ、私、先日の中教審で、学力と体力ともう一つ、問題解決能力とか、今のお話だと、対話力など、3本立てで学校教育の評価をしていく必要があるのではないかと発言しました。3拍子、あるいは、せめて2拍子揃っていないと、上のいい学校には行かれないっていう風にしてもらうと、皆、勉強だけでなく、逆に熱心に取り組むんじゃないかなと思ったんですよね。
- 平田
実際に、例えば前の大学にいた時に、近所の高校が改変で新設にしたのですが、そのときに試験を新しくしたいといって、1時間かけて、子ども達に、スキットに基づいて演劇を作らせて、その作る過程を評価するっていう入試に変えたんですね。
それは、高校の先生が「自分でやっていて、20年教師をやって初めて、どんな子どもにうちの学校に来てもらいたいかが、試験をやりながら分かりました」って言うぐらいに好評で、試験のアンケートも取ったんですけど、子ども達も「この試験はすごくいいから、神奈川県全部でやるべきだ」って書いていて。
本当に、それはコミュニケーション能力とか、今おっしゃった、問題解決能力とか、他人の意見をちゃんと聞いて自分なりに処理する能力とかが一目瞭然で分かるんですよ、面接なんかよりも。
- 佐々木
おもしろい。それ、今も、その高校は、やっているんですか?
- 平田
今もやっています。相模原の産業総合高校っていうんです。工業高校が、定員割れで、コンテンツ産業とかの新しいタイプの工業高校に変わったんですね。今も、うちに出入りしている演出家が授業も持っているんですけれども。
- 佐々木
伺っていると、学校もそうですが、企業の入社試験とかにも取り入れたいですね。
- 平田
阪大も、いずれは、そうしたいんですけど。
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