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平田 オリザさん
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ある程度のコミュニケーション能力を持っていないと、まず自分を守れない
- 平田
それはそうですよ。やらないよりは、やった方がずっとましです。今年、うちの劇団に長くニューヨークで俳優をしてきた男が入ってきました。彼は、もちろん俳優もやっていたんですけど、それだけじゃ食っていけないので、何をやっていたかというと、外資系の会社とかで、アジア系の人達とどういう風にコミュニケーションを取ればいいかのコーチを、ワークショップでしていたんです。
そういった専門家がいて、その会社もあるんですよ。それで香港に行ったり、ソウルに行ったり、東京に行ったりして。それで、すごくお金になるんだって。
でも、逆に言うと、そんなことを日本の会社は知りもしないで、「外資系が来た。大変だ」って言っているじゃないですか。だから本当に、のんきなんだと思う。向こうはトレーニングまで積んでるのに。
- 佐々木
メディアトレーニング、スポークスパーソントレーニングなんか、まさにそうですよね。皆、トレーニングを積んだ人しかスピーチをしないというか、広報の対応もしないのに、日本の企業では、社長も含め、トレーニングを受けていない人が、いきなり頭下げることになっている。
- 平田
理系の子達に言うのに、そこが一番分かりやすい例で、雪印が不祥事を起こした時。あの謝り方は明らかに間違いで、それであんな問題がに大きくなっちゃった。不二家もそうだけれども。要するに、情報化社会に生きているから、昔だったら広報官が守ってくれたものも、今は、社長とか技術者のところに直接マイクが行く。だから全員が、ある程度のコミュニケーション能力を持っていないと、まず自分を守れない。
それから、消費社会だから、例えば牛乳なんていうのは、昔は宅配だったから、消費者と直結している商品のはずなのに、企業のトップは消費者のことを全然分かっていなかったんですね。
今は皆、スーパーとかコンビニで牛乳を買うから、雪印と森永が隣にあって、全員が隣の森永に手を伸ばしたら、一晩で、どんなに大きな企業でも潰れるんです。これが情報化社会と消費社会の怖いところで、だから、そのためにリスクマネージメントをしていかなきゃいけないんだけれども。
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