ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第106回 根本かおるさん

106 |
根本かおるさん
|
|
|
今はもう、それは絶対に許さない
- 根本
強姦って、本当に深刻な犯罪じゃないですか。それが、例えば伝統的な社会の中で、男性がみんなの前で謝って、50円、その被害者の家族に渡せば、それでもうチャラとか、そういうことも多々あったりとか。
でも、今はもう、それは絶対に許さない。これは深刻な刑法犯なので、例えばUNHCRが率先して、弁護士をきちんとつけるような形で訴追するとか。
- 佐々木
難民キャンプで?
- 根本
キャンプで起きた事件も、その国の法律の中での犯罪であれば、ちゃんと訴追してもらってということになりますから、いろいろ力を挙げてやっていますね。
特に女性の職員であると、心を打ち解けてくれると、いろんな話がポロポロ出るんですよ。そういった意味でも、最前線で働いている職員は、女性の方が多いかもしれないですね。
- 佐々木
私が難民キャンプに寝泊りしたときは、1つの家族と仲良くなるために、1週間ほど。毎日会いにいきました。マーガレットっていう、若いお母さん。彼女の家族と仲良くなって。初めは、3日間通っても何もしゃべってくれないのが、4、5日目、同じキャンプの中だけど、歩いて、いろんな所を見たりして、毎回同じ家というか、テントに訪ねていくと、最後はすごく長い間、いろんな話をしてくれましたよね。
ただ、驚いたのは、「どこにでも行けるよって言われたら、どこに行きたい?」って言ったら、アパルトヘイトということを知らないで、「南アフリカに行きたい」って言ったこと。アパルトヘイトって、こういうのだよって教えてあげたら、「そんなの知らなかった」って。
「ヨハネスブルクの写真だけ見て、格好いいと思っていたし、歩いて行かれるから、みんな行きたいと思っている。でも、それを聞いたから、もう行きたくない」って。「じゃあ、どこに行きたい?」っていう話をしたら、「日本に行きたい」って(笑)。「それは、どうして?」って言ったら、「だって、あなたに会ったから」って。
そのときに、すごく簡単な発想かもしれませんけど、教育が大切だと思いました。教育は、人に選択肢を与えます。人生をまた選び直すこともできるのになって思ったんですね。あのとき、私は、自分のライフワークは世界中に学校を作ることだと思ったんだけど(笑)。
- 根本
でも、おっしゃる通りで、やっぱり、ふるさとを追われた子どもたちにとって、勉強することだけが糧だと思うんですよ。で、キャンプがある場合は、幸いにしてUNHCRが率先して学校をキャンプの中に作るんです。そうすると、比較的、就学率も上がる。
それが、例えば町に溶け込んで暮らしているようなケースだと、そこが、なかなか行き届かなかったり、子ども全員を学校に行かせる余裕がない場合は、やっぱり男の子を優先させてしまうような風習もあったりして。そんな中で、女の子をなるべくすくい上げるということを、率先してやっていましたね。
UNHCRは活動方針の柱の1つとして女性の保護を掲げているんですが、例えば、女性への生理用品の配布も重要な支援なんです。難民たちの風習を尊重していますので、ネパールのブータン難民女性には、生理用ナプキンならぬ「生理用布」を難民女性の手で織ってもらって、これを配っています。少額ですが手間賃が現金収入として彼女たちの手に入るので、難民女性の自立支援にもなりますし、一挙両得の支援活動です。
10/28
|
 |
|
|