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根本かおるさん
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難民のリーダーは、原則として半数は女性に
- 根本
実は、難民のリーダーに選ばれる人たちって、男性が多いんですけれども、そうすると女性の問題などに、全然目が行かなかったり、あるいは、女性にとっては非常に悲惨なことなんだけど、男性にとっては当たり前みたいなことに、目をつぶっちゃうんですね。
そういったこともあって、今は、UNHCRの1つの支援の方針として、難民のリーダーは、原則として半数は女性というふうにしているんですね。
- 佐々木
私がリポーターで行ったとき、ジンバブエは、外務省の担当者が女性だったんで、ジンバブエはとてもよかったんですけど、確かに、モザンビークは軍が仕切っていましたから、マラウイもそうでしたけど、「女が来たか」っていう感じでしたね。私自身、相当いろんな所で、「女がリーダーシップをとっているのか」って、取材していても言われました。
- 根本
外部から来られた方に対してでさえ、そうなんですから、弱い立場にある人たちの中ではね……。女性に対しては、もしも女性のリーダーがいたのであれば表面化していたかもしれないような問題が、封印されていたりとかっていうことが、過去にはいろいろありまして。そんなわけで、今は半数は女性。
他にも、援助物資の配給は難民たちが携わって行われることが多いのですが、配給の運営にも難民女性が積極的に関るように促しています。男女の隔たりが根強く残っている風習の地域も多いので、女性が配っているということだけででも、女性にとっては近寄りやすくなりますから。
それから、女性の問題に、UNHCRを中心とする国際社会もどんどん目を向けていかなければならないという取り組みがいろいろあって。例えば、残念ながら強姦とか性暴力というものも、キャンプの中であるわけなんですが、十分にフォローアップできていないケースもありました。
人道援助要員が支援物資と引き換えに難民女性に性交渉を強要するということもありました。こうした問題が表面化して、「これじゃ、いかん」ということで、UNHCRだけじゃなくて、国連組織を挙げて、特に2000年代に入ってから一生懸命やっているんですよ。
2002年、ジュネーブの本部で仕事をしていた頃、ギニアに出張している最中に、シエラレオネの難民の少女から、それは壮絶な体験を直接聞く機会があったんです。シエラレオネの内戦で家族を殺され、一人隣国ギニアに逃げた。里親の世話になっていたところ、援助関係者が「俺と寝たら、お前を学校に行かせてやる」と言って関係を迫って、その結果妊娠。
怒った里親に9カ月の身重のからだで勘当され、行き場もなく、路上で子どもを産まざるを得なかった。そのあと、難民キャンプに収容されたものの、15、6歳で赤ん坊をかかえて、サバイバルの連続だと。
こんな凄絶な話を、淡々と話すんですよ、この女の子が。それまでも、女性同士の連帯観から、女性職員として難民女性の問題に積極的に関ってはいましたが、この経験以来、結構筋金入りになりました。
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