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根本かおるさん
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難民認定をする。それが、私の最初の仕事だったんです
佐々木
何か具体的な例を教えてください。
根本
ブータンという小さな国から逃げた人たちがネパールにいて、後に、つい最近まで私は、そこの事務所の所長をやるっていうことで、原点に戻るような形で、ご奉公することができました。
ブータンから逃れてきた人たちの中で、教育を受けたエリートで、ブータン政府でも仕事をしていたような女性が、UNHCRの事務所で仕事をしていたんですね。この人と非常に仲良くなって、家にも招いてもらったり、彼女の家にも泊めてもらったり。
彼女の親類に手伝ってもらうような形で、ネパールから、インドのダージリンという、ヒマラヤの麓にあるお茶で有名な町があるんですけれども、そこへ路線バスを乗り継いで旅したりとか。職員になってしまうと、なかなか、利害関係上の問題、「conflict of interest」の問題もあったりとかして、できないようなことが、当時、インターンという、わりと楽な身分でしたから、難民たちと個人的な交流ができたんです。
このときに、本当にいろいろと、難民であることの辛さとか、エリートでさえすべてを失うかもしれないということとか、故郷を失った親として子どもの教育に掛ける執念とか、いろいろ、つぶさに見ることができて、これがすごく影響したと思います。
佐々木
どんな仕事の人でも、背景の人でも、難民になりえるということを実感したことの大きさですね。その3カ月のインターンで、「これが自分の仕事だな」っていうことを、かなり確信されて、それでJPOという難関を突破されて、今度はトルコに行く。これが、2年間とおっしゃっていましたよね? もう、一つひとつ聞いていったら、きりがないくらい、いっぱい、いろんな所にいらっしゃっているんですよね。トルコに2年、その後ブルンジにいて、その後コソボ、ジュネーブ。
根本
はい。
佐々木
それぞれ役割、ポジションが、年代によって違うと思うんですけど、どんなお仕事だったんですか?
根本
国によって、キャンプがある場合もあれば、難民キャンプはなく、難民が都市部に溶け込むようにして、普通の人たちに混じって、貧しいながらも部屋を借りて住んでいる場合もあります。
トルコのアンカラの場合は後者に当たって、キャンプはありませんでしたが、主にイラク、イランから逃げてきた人たちが、庇護申請をするわけですね。庇護申請をした人たちから聞き取り調査をして、難民認定をする。この人は国際法上の難民の地位を与えるに値するかどうかっていう判断をするという仕事が、私の最初の仕事だったんです。
佐々木
重要な仕事ですね。
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