ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第116回 古川享さん

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古川享さん
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慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科
- 佐々木
古川さんについては、マイクロソフトの社長時代の話から始まって、あまりにもたくさんウェブに出ているので、同じ話になっても面白くないから、なるべく新しいお話をうかがいたいと思うんです。なので、まずは、この4月に始まった慶応大学のことから。
- 古川
そうですね。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科。4月7日に学校がスタートしたんですよ。約80人、素晴らしい生徒さん。半分が大学生がそのまま進学してきた大学院生で、残り半分が社会人で、試験を受けてくれた人。比率とすると、ちょうどいい具合になって。それに80人のうち20人ぐらいが女性です。
女性の比率はもっと少ないかなと思ってたんですが、本当にエネルギーのある女性もたくさん入ってきて。たとえば名古屋で、2世代目か3世代目のカメラ屋さんのオーナーの女性。今カメラって、みんな量販店に行っちゃうから、なかなかカメラ屋さんとして存続することは難しいのに、今までと違うスタイルのカメラ屋さんで大成功したと、逸話のようになっている方なんですね。イギリスとアメリカの中古カメラ、アンティークカメラをダァッーと仕入れてきて、それを完全に修理して、飾るためじゃなくて、ちゃんとアンティークとして動くカメラとして入れたんです。
それで、サロンを作って、おじさんたちに来てもらって、くつろいでもらう場所を作る、なんてことをやった。で、カメラ屋さんとして成功したんだけど、これをこのまま普遍的なフランチャイズに展開するには、あと何を勉強したらいいかと思って、さらに名古屋栄の地域振興に取り組みたいというテーマを持って、突然大学院に来ましたとかね。そんな人もいましたよ。まあ、いろんなタイプの人が集まって、今までと違う学校の姿をつくろうと思っているんですよね。
- 佐々木
例えば、どんなところが新しいんですか。
- 古川
今までと違う学校の姿が何かというと、まず大学や大学院を出て学卒で入社する人って、会社からするとね、即戦力としては使い物にならない人ばかりで、必ず企業による再教育って必要でしょ。まずお行儀がなっていないとか、仕事のやり方が全く分かってないとか。
本当の実現世界のことを勉強しなくてもいいんだけど、社会的な常識だとか、世の中のからくり、どういうふうに回っているということと全く関係ないことを、実は大学生ってずっとやっていて、そのまま社会に出てくるから、結局、再教育が必要なんですよ。
それで企業側にはどういうジレンマがあるかというと、今、企業は非常に短い期間に利益を出さないといけないし、株主に対して説明責任があったりします。株主から失敗して指さされたくないから、みんな非常に保守的になっていると。
その結果、昔のように、社内ベンチャーに何億円をかけているとか、よその会社が出資をして、ベンチャー企業を支援するとかっていうことも、今はすごく、なんか失速状態、やらなくなってきている状態でしょ。社内で投資をして、すっちゃうことに対して非常に恐怖感がある。
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