ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第12回 大平 健さん

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大平 健さん
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「精神科医レベル」はこう
- 大平
会社で経理畑にいたこの男性は家でも経理部長で、家計簿までつけている。けれども、ほかのことは一切しない。たとえば、息子が警察に補導されて奥さんが電話をかけてきたとき、「会社に電話をするな」と、ガチャッと切って、おしまいだった。娘が不倫して手首を切ったときも、ガチャッ。
本当にひどい作り話ですが(笑)。で、その子どもたちは現在どうしているのかと聞くと、二人とも家を出たきり、まったく家に寄りつかない、という状況だったとする。
では奥さんは? と聞くと、そのとき彼は、はっと気付くわけです。「自分は、カミさんだって出て行ってもおかしくないような亭主だったんじゃないか」と。なのに退職金をすったにもかかわらず、何も言わずに、まだいるよ、って。何なんだろう、と不思議になるんです。話を聞いてるこっちまでそう思いますよね。
失った3,000万円というのは、職業においても家庭においても、総決算に当たるものだった。会社を見返してやろうと、それを元手に一勝負やったけれど、やりそこなった。家でもお金のプロとしてやってきたのに、いったい何のための家庭生活だったのかということになる。
眠れなくなった本当の理由がわかった。そこで初めて精神科医が言うわけです。「あ、そういえば眠れないんでしたよね。お薬でも差し上げましょうか」って。しかし、その人は薬よりも、大きな宿題が残っていることに気付くんです。
自分はすべてを失ったのに、どういうわけか奥さんだけは家にいる。いまからでも、償えるなら何かしないといけない。そして「とんでもない。それどころじゃありません」と言って帰っていくわけです。要するに、お薬を出さなくても治ったということなんですよ。
- 佐々木
すごい。それが番組の「特集レベル」の上のレベル。
- 大平
「精神科医レベル」というわけなんですね(笑)。結局、「問題は何か」がはっきりわかると、患者は「自分で解決できる」というのが原則なんです。
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