ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第12回 大平 健さん

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大平 健さん
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注意は一度だけ。そこで気付いたこと
- 佐々木
先ほどから訓練とおっしゃっていますが、もちろん、精神科医のレベルには到底行き着かないのですが、患者さんも含めて、わたしたちも、日ごろから自分の精神修業はある程度できるということでしょうか。
- 大平
それはそうなんですけどね。難しいのは、プログラムがないと言いましたけど、訓練のための教育のプログラムもないんですよ。
研修時代の話に戻りますが、1日おきに2、3時間という勤務体系の中で何をしていたかといえば、先生の横に座って、診察するのを聞いているだけなんです。しかも横にいてもいいのは、話が聞き取りづらいおばあさんや、まったく口をきかないような人たちのときだけで、さっき僕がした作り話のような人のときは、必ず外に出される(笑)。
それが何の勉強になるのかわからないまま半年過ぎたころ、突然先生が「そろそろ自分でやってみますか」と言ってきた。
- 佐々木
みようみまねでやってみる、ということですか。
- 大平
ええ。しかも大学ですから大きな設備はないわけで、1枚のカーテンをはさんだ向こう側に先生の机があって、僕は反対側で1日に何人かずつ、患者さんを診察させられたんです。
そうしたらある日、突然バッとカーテンが開きましてね、先生にいきなり叱られたんですよ。僕の代わりに患者さんが「すみません、すみません」って謝ってね(笑)。「あなたに言ってるんじゃない。このばかな医者が」ってガンガン怒ったあと、カーテンがまたシュッと閉まったんです(笑)。
それから二度とそのカーテンが開くことはなかったんですが、いつでも意識しますよね。自分がやってることを、すごく意識するようになった。
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