ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第19回 井狩倫子さん

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井狩倫子さん
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ゴーン社長の「言葉」へのこだわり
- 佐々木
ゴーンさんの言葉へのこだわりはよくわかります。本当に単語のフレージングの仕方と選び方が極めてすばらしくて、ほかの人たちのスピーチとまったく違います。いつも聴くたびに「美しい!」と思うんです。
一つひとつの言葉にポジティブなエネルギーがインプットされてるんですよね。そして、それらの単語が組み合わさった時の、なんて言うのか、栄養学でいう「相互拮抗作用」みたいな、本当にとても美しくてパワフルで、何かのキャッチコピーのようです。そのフレーズだけでタイトルになるなという要素がたくさん盛り込まれているので、聴くたびに感激しています。
- 井狩
わたしもそう思います。わたし自身、議事録をつくる仕事もあり、わたしが起こした原稿を社長が内容を確認するのですが、そのチェックの入れ方を見ていても、言葉にこだわりがあることがわかります。
議事録の中での社長のコメントも、意味は同じでもあえて違う言葉を選ぶという場合がありますね。
- 佐々木
よくわかります。わたしも日本語ですが、外に出る文書は同じようにやります。社内議事録は、気になることばかりですが、やっていなかった。社内こそやったほうがいいですね。
- 井狩
議事録は、ずっと記録に残る物ですし、会議に出席していない者も読みますので、言ったのは、「こうではなく、この意味」ということを明確にする必要があるのです。
わたし自身にも、「あっ、本当はこういうことを言いたかったんだ」という気持ちが伝わってきます。ある意味、きめ細やかな人なのだ思います。
- 佐々木
そうですよね。わたしでさえ、取材を受けると本当にこだわりを持ってチェックします。でも「赤入れ」には時間がかかりますよね。ゴーンさんにはそんなお時間、基本的にないような気がするんですけど。
- 井狩
そうですね。でも、忙しい中でも時間を作って、自分の言葉として発信していますね。われわれの仕事としては、いかに社長の意図をくみとって、社長自身が筆を入れずに済むようにするか、です。この領域は、まだまだ未熟です。
- 佐々木
どこの会社でも、社長が十分な戦略をもって意思決定をしているのだと思いますが、それが実際に実行されるのか、伝わるのか、掲げた目標や発する言葉に命を吹き込み、それをずっと社内に浸透させられるのかなどが、肝なんだと思うんです。
ゴーンさんは、こだわりをもってそれを見事に実現され、改革に成功なさったのだと思うのですが、そこには、前身のCOOオフィス、現在のCEOオフィスの存在がかなり大きな役割を果たしたのですね。
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