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松井龍哉さん
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幸せに導く、フラワーガール
- 佐々木
わたしが初めて松井さんのロボットを見たのが、フラワーガール、Posyだと思うんですけど。わたしの中で、どこかロボットって男の子のイメージだったんでね。それこそ『鉄腕アトム』から始まって。それで、人間型ロボットを想像するとき、ぎこちない動きの男の子を思い浮かべていました。
だからスカートをはいたロボットが優雅にダンスをしてくれたのは、すごく感激だったんです(笑)。
「機械だけだとマッチョでしょう」と先程おっしゃったのが印象的なんですが、それまでのロボットのイメージを壊して、すごくフェミニンな要素をロボットに取り入れることを意識されているんでしょうか。
- 松井
そうですね。Posyはどちらかというと僕たちの希望みたいなロボットで、直接何かの役に立つというのではないですけど。物を創る人はちょっと時代を先取りして、その方向を指し示すという姿勢が必要だと思うんです。
20世紀の科学技術は、どちらかというと経済的な要素が非常に多くて、いろんなものを開発して、大量生産・大量消費、それから出てきた技術をすべて特許で押さえるというようなアメリカ式のやり方で進んできた。
技術はものすごく貢献したけれど、でも結果として本当に幸せになったのか、果たして人間が心の満足を得られたのだろうかというと、そうとは思えない。
そう考えたときに、やっぱり技術というのは人間が幸せになるためのものでなければ意味がないのではないかと、エンジニアのみんなといろいろディスカッションしました。
- 佐々木
幸せになるためのロボット、ということですね。
- 松井
それで、その、人間が幸せになるためのものというのを象徴的に表すものをロボットで創ろうかというところから、Posyのデザインが始まったんですね。そこで結婚式ということを突然思いついた。
結婚式に行くと、だいたい3、4歳の子がやるんですけど、新郎新婦の前にフラワーガールがいますよね。あれは天使の象徴というのか。
教会の中で、神父さまが神様だとすると、フラワーガールが幸せへと先導する天使だっていうじゃないですか。それで、あ、もしかしたら技術の役割ってそういうものじゃないかなって思ったんですね。人を幸せへと先導するようなロボットで、フラワーガールというテーマでつくったらおもしろいんじゃないかなと思いました。
- 佐々木
幸せに導くという発想なんですね。
- 松井
それで、スタッフと一緒にいろんな結婚式場に通って、朝から晩まで人の幸せをずっと浴びながら結婚式を見てたんです。そんなふうにリサーチしながらおもしろいと思ったのが、結婚式のときにフラワーガールが出て行くと、もうみんながニコっとしちゃうことだったんですね。
そこに、嘘偽りのない美しい微笑みだ、というのが見えたんですね。だから、これは本当に天使が降りてきて、人に幸せの一端を分け与えているのかな。なんてすばらしいのかなと思った。それで、3歳の女の子という設定でPosyのデザインを始めたんです。
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