ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第28回 米倉 誠一郎さん

28 |
米倉 誠一郎さん
|
|
|
イノベーションの基本は5つ
- 佐々木
そもそもイノベーションっていう言葉は、クリエーティビティっていう言葉と一番近いかと感じてたんですけど。モチベーションのつくり方までが含まれるとは思わなかったんです。あとは具体的にどんなものが?
- 米倉
基本はね、シュンペーターが言った5つの要素の組み合わせ。イノベーションっていうのはニューコンビネーションなんだ、どれも新しい組み合わせなんだということ。
たとえば、化粧品を男性に売ってみる。それまで対象は女性だと思っていたのに、「肌がきれいになりたい」っていうのは男も一緒だな、と。こういったニューコンビネーション。それで、その5つとは、まず第一に新製品の導入。プロダクトイノベーションですね。
で、2番めは、同じ製品でもいいから、新しい作り方、新しい生産方法の導入。これはプロセスイノベーションですよね、日本が得意な。アメリカで発明されたものをより安くより良く作る。
3番めに新しいマーケットの発見。僕が最近いいなと思ったのはドンキホーテのコンセプト。あそこで何を売ってるか知ってます?
- 佐々木
なんでも売ってますよね。
- 米倉
安田社長がね、わたしたちは真夜中を売ってるんだ、って言ったんです。たしかにね、真夜中っていうマーケットを発見したわけですよ。なんでも売ってるけど、別に昼間は入らないんですよ。昼間だったらダイソーに行けばいい。でも深夜12時を過ぎて、人間暇になったりするわけじゃないですか。そのときアメリカだったら24時間スーパーとかがある。時々おもしろいから行くんですよね、夜中に。
だから「真夜中を売ってるんだ」って言われた時に、そうか、マーケットっていろいろあるんだ、アジアのマーケット、真夜中のマーケット。実は早朝っていうマーケットがあったり、ネット上っていうマーケットがあったり。まさにそういうニューマーケットを発見する。
ウォークマンもね、製品としてはすでに出ていたテープレコーダーとヘッドフォンの組み合わせなんだけど、歩きながらステレオを聴く、というとんでもないマーケットをつくり出した。今の共産圏を含めてね、いったいどれぐらいマーケットをつくったと思います? そういうマーケットの見方もあると。
あと、4番めに挙げたのは材料。これはアルミからペットボトル、石炭からガソリンとか、新しい原材料の導入です。僕がおもしろいなと思ったのは、ドイツ。現在、ガラスびんに回帰しているんですよ。
- 佐々木
環境視点、リサイクルですね。
- 米倉
あそこは先進国でしょ、リサイクルの。そうすると日本もペットボトルをやめようよ、といって、びんっていう時代も……。これもある意味イノベーションなんですよ。
- 佐々木
そうか。びんに戻るっていうのは、材料としてだけでなく、過去に存在したものでも新しい時間との組み合わせ、ということなんですね。
- 米倉
そうです。まさにそういう考え方なんですよ!
2/23
|
 |
|
|