ビジネスの成功はチーム力でしかあり得ない

佐々木

トップセールスウーマンが、転職して社長となって戻ってくると、当然、ウェルカムと言ってくれる人もいれば、「何だよ」と思っている人もいますよね。だいたいパッと見れば瞬時に様子がわかる、と。

林

わかります。

佐々木

そのとき、どんなふうに盛り上げていくんでしょうか？　一人で売っていくのは意外と簡単だと思うんですよ。自分の能力とセールスを上げていくのは、自分自身の訓練で何とかなる。しかし全社で売り上げを上げていくときのノウハウというか秘訣、手順は？

林

ビジネスの成功はチーム力でしかあり得ないと思っています。社員のみなさんがいて、わたしがいる。当たり前ですが、ここで社長業をさせていただけることに関して、大変な感謝をさせていただいています。受け入れてもらえないのが普通だと思うんですよ。

着任した時は名ばかりの社長だと思うんですよ。働いてるみなさんがわたしを社長として引き受けてくださるか、社長として上に持ち上げてやってくださるか、という気持ちは強いですね。

だからそのためには自分はどういう人間で、何を考え、何をやってきたかということを、ものすごく率直にひたむきにお伝えするということをします。

わたしは「うちの社員が」「うちの従業員が」という言葉はまったく使えないんですよ。お客さまに向けても言えないので、困っているのですが。インタビューも受けても「うちの社員さんが」「従業員さんが」と、さん付けしてしまうの。そのくらいある種の敬愛を持っているんですね。

ちょうど約5年前、社長業を始めてみて本当にわかったのは、企業体の中にいろいろな仕事がありますが、どの仕事も本当に大事だということなんです。

だからメカニックとして車の修理をしている人も必要だし、経理部長も必要。一つ一つの役割を、各人がまっとうしていただいて会社が成り立っているというのは、社長になってしみじみわかりましたね。それはわたしが下でやっている時はわからなかった。