ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第30回 林 文子さん

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ビー・エム・ダブリュー東京株式会社 代表取締役社長
林 文子さん
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わたしにもできるかもしれない。それが始まり。
- 佐々木
そもそも、自動車業界に入ったのはどのようなきっかけで?
- 林
わたしは高校を出て、まず東洋レーヨンに入りました。当時、昭和40年(1965年)ですから、高校を出た人の大半がそのまま就職していましたよね。大学に行く人が少なかったんですよ。大企業、一流企業に勤めるのが夢というか、女子高校生はそんな気持ちだったんです。
でも昔は女性と男性の仕事の間には、けっこう線が引かれていましたでしょ? 都立青山高校という男女共学でもすごく自由な空気で育てられたんで、企業に入ってからのあの差別というのにはびっくりしてしまったんですね。そこから転職が始まって、松下電器に行きました。
事業部長秘書だったんだけど、そそっかしくてね。入って3日目で今の夫に知り合ってね。本当にひと目ぼれなんですよ。それですぐデートして、1カ月後くらいに婚約してしまった。何のために入ってきたの?という感じになりますよね。
- 佐々木
(笑)。
- 林
これから仕事を覚えようという人が、入ってきて1カ月目で婚約しているんじゃね(笑)。で、何をやってるんだと会社に怒られましてね。それでまた辞めて、ってことですね。
- 佐々木
あの当時というか、わたしが大学を出たときもそうですが、社内結婚をすると女性は必ず辞めなければならない風潮は?
- 林
どちらかというとそういう風潮だったんじゃないかしら。だから結婚したらやっぱり辞めるのかなというのはありましたけどね。それでも働きたくてオムロン(当時の立石電気)に行きました。特別なスキルもないし、事務補助みたいな仕事ですよね。
それをやっているうちに、ホンダの車を買ったことがきっかけになって、ホンダのセールスマンがセールスをしにいらっしゃったんです。でもわたしのほうが、社交的というか人が好きだし、逆にセールスマンをおもてなししてしまうんですよ。
- 佐々木
ええ。
- 林
それが高じてきて、「あ、これならできるかもしれないな」と思うようになったんですよ。
- 佐々木
そこがすごいですよね。事務職で転職し続けてきた女性が、男性の自動車のセールスマンの仕事振りを見て「できるかもしれない」と思い、行動するところが。
- 林
わたしは車が大好きでね。人が大好き、人とお話をするのが好き。うちに車を売りに来たセールスマンはね、売らんかなの人じゃなくてね、社交的な感じの人じゃなかったんですよ。もう少しお客さんの気持ちを弾ませるようなことを言ったほうが、いい仕事できるんじゃないかな、というのは見てて感じましたよね。傲慢にも(笑)。
それでね、思い付いたわけですよ。近所のホンダの販売店のチラシに営業マン募集というのが出てたので、電話したら「女の方はセールスは無理ですよ」と。けれども、とにかく会っていただきたいとお願いしたら、なかなか話のわかる社長だったんですね。情熱みたいなものに押されたんだと思うんですよ。それで「初めての例なんだけど採ってみるか」ということになりました。
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