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石井苗子さん
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血液の持つ個人情報
- 石井
いくつかあります。が、ひとつは「医療倫理」の分野。たとえば遺伝子を解析するのに使う血液を、1.どこから集めて、2.そのためにはどういうふうに「インフォームド・コンセント」を取り、どのようにわかりやすくそれを3.説明、4.教育、5.説得するかっていう、5つの柱のデザイン方法を研究してます。
血液を提供してもらうって、ものすごく難しいことなんですよね。血液ぐらい個人情報がいっぱい詰まっている資源はないから。先進国にはさっきの5つの柱のそれぞれを仕事にするプロがいて、メディカルコミュニケーター、メディカルライターっていう職業もある。日本にはほとんどいないの。
最近「個人情報保護法」ができたでしょ。いわゆる個人のプライバシーを守る法律。これに違反するような行為をとると、メディアが厳しくたたくような雰囲気がある。
医学とか医療が目的だったら、個人情報の取り扱いも別っていうのは難しい。どんな研究や実験をやる時も、事前に一人ひとりから理解をいただく。研究を一から説明する。研究者はそれをやらないと研究が中止になってしまうこともある。その間を取り持つ仕事のプロ、メディカルコーディネーターがこれからは必要なのね。
でも両方に説明するには、両方をわかってなきゃならない。困ったことに、わたしそういう仕事、向いてないのよ。20代のとき日米漁業交渉でさんざん仲介役ってのをやって、あっちの言い分、こっちの言い分、って聞いているうちにイライラしてくる。それが嫌で通訳辞めたのに、またやるのって感じ。
- 佐々木
それが辞めた理由だったの?
- 石井
そう。なのに医学でも通訳が必要だとか言われて。
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