ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第37回 石井苗子さん

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石井苗子さん
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ストレスカウンセラーの重要性
- 佐々木
予防保健学・疫学がご専門ということは、ストレスも研究テーマですか?
- 石井
修士1年生の時にストレスの勉強をしていたので、修士論文に「社会ストレス」を観察したデータも使いました。その延長線で、カウンセラーの講義も受けていて、来年くらいには「ストレスカウンセラー」の資格を取ることになると思います。
博士課程を修了したときには、「保健学博士」になるんだけど、英語ではドクター・オブ・パブリックへルスといって、アメリカでは泣く子も黙るポジションらしいの。でも日本では「何する人ですかそれ?」って言われちゃうの(笑)。医学博士しか知られてないからなんでしょうね。
ドクター・オブ・パブリックへルスは、公衆衛生の専門家と言えばわかりやすいかな。国家予算で公衆衛生や疾病予防の研究を任される人たち。
日本は医師、看護師、保健士が一般的で公衆衛生のドクターは認知度が低い。わたしが取ろうとしている「ヘルスケアカウンセラー」といった職業も国家資格ではないので、なる人が少ない状態なのね。
- 佐々木
ドクター・オブ・パブリックへルス。確かに重要だし、日本にも必要だと思います。「ストレスカウンセラー」だと、どんなことをなさるんですか?
- 石井
専門用語なんだけど、「ソーシャルサポート」、「ソーシャルキャピタル」、「ソーシャルネットワーク」ってのがあって、3つの要素をいかに上手に使うかで社会的・肉体的に弱い人でも、ストレスを最小限に抑えながら、仕事の機会を増やし、生活の質を向上させる選択肢を得ることができる。
カウンセラーは、方法を一緒に考えてあげ、自立を支えてあげるのが仕事です。
“よろず相談承り屋”ではないのよ(笑)。ストレスを科学的に整理してあげるっていう専門家。あらゆる要因が複雑にからんだ現代人のストレスを、ある程度整理して管理方法を考えるというのが大切なの。
たとえば自律訓練法っていう「治療」があります。それを行った場合、どんな結果が出たかを一般的に解析するのにバイオスタティスティックスという生物統計学の分野を使う。
今わたしは生物統計学と疫学予防保健学の両方がある教室にいて、統計方法を習っているんだけど、実践する前にわたしがストレスでおかしくなりそうだわ。だって、統計なんてやったことないんだもん。
日本ではソーシャルワーカーという人たちが社会ストレスの分野でかなりの実績と経験があるのね。彼らがほとんどで、あとは弁護士が出てきちゃう。弁護士さんは法廷の仕事をする人で、病を治す人ではないのね。これからは専門的なカウンセラーをつくっていかなきゃならない。でも、ここもまた仲介的な仕事だな〜、運命かしらん。
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