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フリーダイビングトレーナー・アプネアフォトグラファー
菅原真樹さん
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マッコウクジラと一緒にぷかぷか海で浮かぶ
- 菅原
まあ、たとえばマッコウクジラなんかは、もっと怖い顔をしているんですよね。歯もありますし。ある日、群れの中に入って気がつくと、向こうからどんどんどんどん群れが迫ってきた。
僕は水面で本当に脱力して、もう流木になりきったつもりでプカプカ浮いていたんですね。「僕は危害を加えないよ」というような信号をずっと唱えながらね。そうしたら向こうからぐーっと近づいて来てくれて、気がついたら、ここらへんにマッコウクジラがこう、15頭くらい迫って、僕と同じようにこうしてぷかぷか浮いてくれた(笑)。そのときにはもう、自分はすべてお任せします、もう委ねますという気持ち。
- 佐々木
ちょっと待ってください。聞いていると良い話ですが、マッコウクジラ15頭が手の届く距離にいたら、怖くないですか。
- 菅原
恐怖感はまったくなかったですね、そのときには。それだけ、そういう信号を受け取ったって言うんですか。マッコウクジラの場合は、クリック音って言うんですかね。コッコッコッコッっていうソナーをね、私に、全身にあてるわけですね。すべてお見通しっていう(笑)。
- 佐々木
そういうときって逆に、「ここで怖がっちゃいけない、受け入れなくちゃ」と自分に言い聞かせて無になろうとするだろうけれど、クリック音でもしも見通されたら…。
- 菅原
もちろん、圧倒される感覚っていうのは自分の中に迫ってきます。恐怖感ではないですけれども、非常に自分の中で違った感覚が、強烈に迫ってくるというので、そういうのを感じますけどね。
- 佐々木
でもいいなあ。幸せな感じですよね。
- 菅原
そうですね。ですから、人間の存在ではなくなってしまう瞬間ですね。で、他に誰もいないんですよ。私と、海とクジラ達だけ、っていう世界で。
もう水面で、みんなも水面に浮かんで休んでいるわけですね。で、その中でいる自分の存在っていうんですか。非常にまあ、幸せですね。なかなかこの瞬間は、自分にしかそういうものは味わえないと思いますし。
- 佐々木
本当です! でも私たち大人や子どもに、教えてくださっていて嬉しい限りです。うちの子なんかみたいに5歳で、普通だったら顔を水につけて3まで数えられますか、というような年齢の子が数日で海になれて心が解放されたり。なんだかセラピー効果も高いと思うのです。
たとえば障害をお持ちのお子さんの指導もされていますよね。コナでの活動についてお聞かせいただけますか?
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