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野口 健さん
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標高8,000メートルでゴミ拾い
- 佐々木
野口さんは、今回のシシャパンマは2回目でしたよね。
- 野口
そうです。1度目は2002年の秋にやってるんですね。あの時にひどく失敗しましてね。というのも、それまでずっとエベレストの清掃をやっていて、8,000メートルに2カ月こもって、ゴミを拾ってたわけですよ。
そうすると、通常の登山隊だとベースキャンプがあるのが5,300メートルですからね。そこをベースにしながらアップダウンを繰り返す。8,000メートルのところにゴミが集中するので……。でも、8,000メートルにずっといると、低酸素の影響が強いんです。
- 佐々木
どうして8,000メートルのところにゴミが集中するんですか?
- 野口
最終キャンプが8,000メートルのところにあるんですよ。
- 佐々木
ああ、それで、みんな持ってこないで置いてきちゃうわけですね?
- 野口
はい。つまり、標高が高くて厳しいので、登ったら全部、テントも食料も、もう寝袋も置いてきてしまうんです。
- 佐々木
下山する時は、なるべく軽くして帰ってきたい、っていうことですね?
- 野口
はい。だから、8,000メートルのところに多いんですよ。
- 佐々木
それにしても、ただ行けって言われただけでも、大変な高さですものね。
- 野口
そう。1カ月かけて体を作って8,000メートルに行っても、たとえば僕は平地なら40〜50キロを背負えるけど、8,000メートルに行ったらもう、十数キロが限界なんですよ。酸素がない所ですから。
たとえば酸素ボンベがいっぱい転がっていると。ボンベは古いのだと1本が6キロもあるんです。だから苦労して行っても、そんなに背負えないんですよ。
で、どうするかというと、15〜16キロ分のゴミをザックに詰めて、6,000メートルくらいに置いて、大きなテントを張ってましてね。そこにゴミをバンバン入れるんです。
それから2日くらい休んだら、そこからまた8,000メートルに行くんですよ。延々とこれを繰り返してるんですね。2カ月くらい。だから通常の登山隊よりも、圧倒的に標高の高い所に長くいるんです。そうなってくると、これはやってみてわかったんですけど、ガタがくるんですよね。
- 佐々木
どれだけ大変なお仕事かがわかってきました。
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