ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第59回 野口 健さん

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野口 健さん
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清掃登山でボロボロに
- 野口
ものすごくガタがきましてね。その頃に、シシャパンマに行ったんですけど、体がひん曲がってましてね。エベレストの清掃隊も、もう4年やりましたから。すると、シェルパが毎年清掃活動が終わった直後に亡くなってしまうんです。3回目の清掃の後なんですけど、シェルパが3人亡くなりました。
なんか僕自身も壊れかけた時だったんですよ。「まあ、なんとかなるかな」と、そういうつもりでシシャパンマに行ったら、もうどうにもこうにもならなくて、6,000メートルくらいで、完全に意識を失いました。結局、そこでシェルパに下ろされて失敗したのが1回目の挑戦です。
帰ってきてから、講演があったんですが、講演中にお尻から血が流れるんですよ。ダーッと流れまして。「えっ?」と思いながらも、5日間講演が入っていたので、「とにかく5日間は我慢して、これをクリアしたら病院に行こう」と思ってその5日間が終わったら、倒れて病院に運ばれました。
調べたら、結局は低酸素の影響もあったんでしょうね。心臓の弁がちゃんと閉まらなくなってるんです。要するに、かなり低酸素の状態なので、心臓のポンプが頑張っちゃうんです。
付け根が腫れちゃって、ちゃんと閉まらなくなったんです。ちゃんと閉まらないんで、3分の2くらいでまた開いちゃう。で、押し込んだ血が、開くと逆流ですよね。あとね、腸などに穴がいっぱい開いてたんです。
- 佐々木
穴がいっぱい、って……
- 野口
胃袋に4つくらい開いてたんですよ。だからお尻から血が出たんです、ビャーッとね。もう完全に壊れてたんですよ。そこから約2カ月、入院しました。
- 佐々木
結果、2カ月の入院で治って……。今は治ったんですよね?
- 野口
はい、胃袋に関しては治りました。でも呼吸器官というのは、なかなかパーフェクトには治らないんですね。まあ、だいぶ良くなりましたね。それから、血が汚いんですよ、僕は。
- 佐々木
え? 血が汚い?
- 野口
酸欠になると血行障害を起こすんです。
- 佐々木
うーん。ちゃんと循環していられないの?
- 野口
循環していない。で、酸欠になると、肝機能が低下するわけです、脳が鈍るんで。だから登山家の人は血が汚いんですよ、みんな。ドロドロしちゃって。で、血が汚いところから病気っていうのは生まれてくるんで、病院に行ったら僕の血は汚すぎてね、人には輸血できないって言うんですよ。見てわかるくらい、他の人と違うんです。
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