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大沢 真知子さん
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非正社員の増加で発生する問題
- 佐々木
他のヨーロッパの国はどうですか?
- 大沢
フランスは今、週の労働時間を35時間にまで短縮しました。元に戻すっていう議論もあるらしいんですが。でも一般に労働時間を短くした国で、雇用はそれほど増えていないけれど、生産性が上がったという事例は出てきているんですね。
イギリスは、アメリカに似た国なんで、ワーク/ライフ・バランスのキャンペーンを進めているんです。
- 佐々木
キャンペーンとは?
- 大沢
そのために外部のコンサルタントにかかった場合、その一部を政府が補助するというような形なんです。
- 佐々木
それは面白い。
- 大沢
共働き夫婦が一般的になってきていて、介護の問題とか子育ての問題が出てきたときに、夫婦が働き方を変えることで、両方ができるようにする。かつ、雇用の安定というのがある程度保てるんじゃないかと。そのあたりをどうするのか、今ヨーロッパの人たちが模索している段階なんだと思うんですよね。
日本も介護の問題や子育ての問題を抱えて、今のままでやっていけるのかと考えます。今は正社員がもう手いっぱい働いている。収入としての残業代は増えているんだけれど、労働時間が長くなって労働がきつくなっている。かつパートが増えてますよね。なんか非常に悪いサイクルにはまっているような感じなんです。
つまり、グローバル化の中で労働力にも柔軟性が必要なときに、非正社員だけがその重荷を背負っていて、非常に安く買い叩かれている。それが男性とか中高年の失業者にも広がってきているので、経済不安を高めている。
一方で正社員は、ある程度の安定は得られるけれど、すごい責任が重くなって、仕事がこなしきれなくなってきているという、二極分化がおきているんですよね。これではもう、悪いサイクルにはまっているので、どこかで鎖を断って、戻していかないといけない。正社員の労働時間というのは、全体的に見てだけれど、もう少し短くして、いまより効率よく働いていかなくてはいけないし、非正社員をあまり増やしてはいけない。
いけないというか、非効率的になっていくんですね。ミスが多くなって、責任を持たない労働者が多くなっているので、確かに人件費は削減できるかもしれないけれど、安全性や品質の面で問題がでてきて、企業全体が、これ以上非正社員を増やせない状態になってきている。
- 佐々木
サービスの品質に問題が出てきている。
- 大沢
そうですね。製造業などではいろいろと問題が増えてきていますし、トラックの運転手さんの事故の問題などもあるし。
安定した雇用形態の中で働いて、かつ所得も安定しているという仕事が増えてきたほうがいいし、安定してよい所得というのも、男性だけで得られなければ夫婦2人で考えていく、そこで所得が増えていけばいいんじゃないかというような考え方になってくると、ワーク/ライフ・バランスというのが、現実味を帯びてくると思うんですよね。
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