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大沢 真知子さん
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アメリカの雇用平等法の強さ
- 佐々木
でもそのなかでアメリカは、女性の進出に関して、国連開発計画(UNDP)のジェンダーエンパワーメント指数(女性の政治・経済分野への進出度)が、177カ国中12位でしたよね。44位(2003年)の日本の中から見ると、アメリカでは管理職になる女性の比率が上がってきている。少なくともその視点だけとって見ると、うまくいっていると思うのですが、どうしてそうなれたんでしょう?
- 大沢
それは1つには法律、強い雇用平等法だった。それから裁判ですよね。やっぱり、裁判でなにか訴訟が起きたときに、女性が勝訴する確率が非常に高かったし、注目された裁判なんかでも賠償金がすごいから、やっぱり女性を差別することの企業が被るペナルティというのはすごく大きかったと思います。
- 佐々木
それは日本が、現在持っていないことですよね。
- 大沢
そうですね。制度の面でも後押しして、男女平等を理想とするような社会作りに成功したのかな。いろいろなレベルで差別をなくすための、「何が偏見か」を体感するような偏見認識プログラムなどの教育プログラム、結構優れていますよね。
- 佐々木
確かに。
- 大沢
そういうのを、家庭のレベル、小学校のレベルなどで徹底してやったんじゃないですかね。それで、意識改革に成功したっていうところが大きいんじゃないかと。
- 佐々木
それってすごくポイントですよね。法律でがんじがらめにして、罰金が多くて、裁判でペナルティ、っていう攻め方で獲得する男女平等って、すごくマイナスな動きでしょう。その事例を聞いて、そうか日本も法律を変えましょうっていうふうにはモティベーションがわかない。そんな方法だけで、男女平等が生まれてもうれしくないと、ちょっと思うんだけれども。
- 大沢
そうか。
- 佐々木
だけれども、偏見認識プログラムを導入して体感できたら、ずいぶん違うでしょうね。以前テレビで見たことがあります。たとえば黒人と白人を1つの教室に入れて、実際の肌の色と関係なく「あなたは今日は白人」、「あなたは今日は黒人」、と言って、違う肌の色で一定時間過ごして、また時間で交代して、どれだけ自分が無意識に差別されているか、差別されている人の気持ちになったか、みたいな実習でした。アメリカは人種とか肌の色の差別が課題の国だから余計敏感にジェンダーに関してもプログラムが発達してきたっていうことなんでしょうか。
- 大沢
そうでしょうね。アメリカの特徴的なことですよね。そういう性差認識プログラムなどを職場でもやっているし、学校教育でも、かなりいろいろなところでやられているので、偏見に気がつかされるっていうところがありますでしょう。
マクドナルドで作っているおもちゃのイメージは、何かある特別の人種に対してマイナスのイメージがあるのではないかとか、映画でもかなりそういうところで気をつけている、それで日常生活の中でも次第に自分がもっている気づいていない偏見に気づかされるようになっていく、というところでしょうか。
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