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大沢 真知子さん
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日本の市場を獲得しようとする外圧
- 佐々木
最初にお会いしたのはいつでしたでしょうか? 10年以上前。
- 大沢
93〜4年だったでしょうか。
- 佐々木
そのころもたいへん珍しい、仕事と女性のことを研究されている先生でした。
- 大沢
ええ。アメリカから日本を見るっていうかね。
- 佐々木
これからまだまだ研究は続くと思うんですね。私自身、自分の体験から日本の中の女性の働き方の変化とかを振り返ると、3つの波があると思うんです。
1つ目の波は80年代半ば。やっと雇均法ができて、そうか平等なんだ、って思ったけれど、90年前後になっても、まだまだ結婚退職が多く、出産による退職はあたりまえ。社則の中に、結婚したら妻が辞めるべきと書いてある会社があったりしました。波は来たんだけれど、全然現実と離れている男女平等だった。
90年中ごろに、もう1回、女性を活用しようという波が来たんですけれど、なんかそれは小山で終わって、知らないうちに静かになくなっていました。そして今、第3の波が来ていると私は思っていて、本格的にやっと企業が取り組もうかと動き始めたような気配だと思っています。
- 大沢
私もそう思いますよ。
- 佐々木
だけれどもちょっと怖いのが、CSRも株価に反映しないじゃないかっていう記事が出ちゃったりすることです。この第3の波が、株価や経済価値と結びつく証明ができないまま、企業の経営者があきらめてしまうんじゃないか、っていうのが、今とっても私からすると懸念なんです。
- 大沢
そうですね。ただ、グローバル化によって女性に追い風が吹くんじゃないかなって感じもするんですよね。というのは、今までは日本の企業だけで、ナアナアでやってこれたけれども、もしうまく企業の経営ができなければ、外資との提携がチョイスに入ってくるし、実際M&Aも出てきましたしね。
だから思い切ったことをやっていかないと、企業が生き残れない、大げさな表現かもしれないけれど、今までと違う厳しい環境の中にあるんだと思うんですよね。CSRを株価に反映させている企業じゃないと生き残れないので、結果が出てくるっていう、なんかそういうムードは追い風だと思いますね。
- 佐々木
そうか。結果が出ないということではなく、CSRや女性活用を企業価値に結びつけられない企業は、今後の発展がないということなんですね。
- 大沢
私は、90年代の後半に、だいぶ外資の経営者に会って、話を聞いているんです。日本でビジネスを成功させたいと思ったら、女性を活用するしかないって言ってました。日本には優秀な女性たちがたくさんいて、自分の会社には女性活用のノウハウがある、女性が結婚しても子どもを産んでも辞めない、そういったプログラムをどんどん開発しているし、勝てる、と。
優秀な女性が集まれば、日本の市場を獲得できる、っていうようなことを言っているということは、そのノウハウを日本の企業が蓄積していけば、業績を伸ばすことができる。
- 佐々木
いい意味の外圧ですよね。
- 大沢
そうですね。いい意味でそれをプラスに生かして。働きやすくしていくっていう、そのときに、ワーク/ライフ・バランスっていうのが生かせる。そのアイディアっていうのが、働き方も良くして、かつハッピーに働けるから生産性も上がるっていうロジックの、win-winの関係っていうのが成立するんですね、発想を変えていけば。だからすごく、可能性があるんじゃないかと思ってますね。
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