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陰山 英男さん
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評価されなくても頑張るのが、日本の教師なんです
- 佐々木
国の予算を減らし、地方の自由度を高めて欲しいという要望が、地方から出ていますよね。あれは、どうなんでしょうか。
- 陰山
自由度が上がることはいいですよね、でもものすごく極端な地域差ができますよ、と。それを飲み込んだ話なんでしょうね、ということです。日本の社会自体が、勝ち組、負け組っていうことがいよいよ本格化しつつありますよね。
要するにアメリカ化しようってことでしょう。私たちはアメリカの社会で生きることを幸せとする民族なんでしょうかね?
- 佐々木
う〜ん、先生はそうすると、結局、いろいろやっても評価されない国だった方がいいということですか?
- 陰山
いいんですよ。評価されなくっても頑張るのが日本の教師なんです。それに地域の人はどの教師がいい教師か、よく知っていますよ。
日々の教育活動の中でね。問題はそうしたいい教師が管理職にならなかったり、なれなかったり、そこに問題があったのではないでしょうか。優れた教師が校長となり、次世代を育てる。私は今までのシステムの中で、なぜそうした機能がくずれてきたかを考えるのが一番ではないかと思うのです。
そう考えると指導力のある教師たちをゆとり教育の時代に崩したという面もあるのです。知識を教えるより、自ら考え、自ら学ぶのが大事なんだって言われて、何が起きたか。一生懸命、できない子どもを教える教師たちが、自信を失ったんですよ。
で、それが1993〜94年の、いわゆる教育の崩壊状態に結びついていったわけですよ。データにはっきり出てるんです。
今は、つめこみ教育反対なんて言う人はいなくなりましたが、十年前は逆でした。教育の評価を社会に委ねることに現場はかなりの不安があります。いずれにせよ、個性尊重というきれいな言葉の結果として、今の学力低下の深刻化という現実につながったのではないでしょうか。
- 佐々木
その原因が、考える子どもを育てようっていうことだったと?
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