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アシハラヒロコさん
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作った家具も、ロンドンで人気に
- アシハラ
先ほど申し上げたように、私にとって「出会い」は財産です。例えば、私にとっては店舗のデザインは数少ないのですが、私がデザインしたレストラン「リストランテ濱崎」。濱崎さんとの出会いはイタリアの最高級の木の家具会社チェコッティの椅子を濱崎さんがなんとしても自分のレストランに使いたいと思ったところからはじまっています。
そしてその家具を映えさせることのできるデザイナーということでご指名があった。そんな経緯を経て、その写真の小箱って、チェコッティから出ているんですね。
サローネ(国際家具見本市)で一昨年発表して、ということは、世界に向けて発売になったという、すごいことなんです。日本のデザイナーでメジャーデビューなさっている方は数えるほどなので、チェコッティの社長からチェコッティ社のための家具のデザインを、と言われたときは夢のようでした。おかげさまで、ロンドンで今人気なんですね。
- 佐々木
素晴らしいね。おいくらなんですか?
- アシハラ
90万円くらいします。無垢でできていますし、仕掛けもあるので。例えばつまみのところっていうのは、イタリアのマエストロに作ってもらった。昔の鏡台にさがっていた「ぶらり」です。グランドハイアットの神殿でプレス向けにしたプレゼンの時に私はそのカンカンカンという音を拾ったら、母親が化粧をしてきたときを思い出して涙が出たっていうふうに言われたのね。
やっぱり、私はそういう五感に訴える設計をすごく大事にしている。あの、男性上位の日本の社会の中で鏡台だけが女性にとっては自分の世界だったんですね。
- 佐々木
うん、うん。
- アシハラ
で、そこにへそくりを隠したりしながらやってきた、っていうものを表現したくて、実は隠し引き出しがついているんですよ。
- 佐々木
え、本当?
- アシハラ
で、へそくりなのか知らないけれども、なんかこう、持てる喜びと、これの前に座って自分もやっぱり女性ですから、きれいになって、それが夫のためか、社会に出て頑張るためか。で、次の代に伝えてもらえるような家具を作りたいと思っているの。
- 佐々木
本当ですね。わたしも自宅で欲しいと思って探したけれど売ってないもの。作りたいと思ってた。90万は、まったく手が届きませんが。
- アシハラ
で、あとは、奥さんって一番いいところで化粧したっていいじゃない。で、ズルズルって持ってって、寝室だけではなく、リビングとか、表の場に置いといて絵になる家具にしたかったの。
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