ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第77回 石倉 洋子さん

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石倉 洋子さん
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佐々木は横割りのプロ?
- 佐々木
世界級のプロとは、「あの人しかいない」とか、「あの人に頼みたい」って人だと書かれてましたね。私もまったく同感ですが、一方で、私自身、どの分野のプロでもないんですね。
- 石倉
うーん、そうですかね。
- 佐々木
ええ。先日、タクシー運転手さんが、鏡をチラチラ見ながら、「お客さん、テレビ出てますよね?」というんです。『とくダネ!』は視聴率が高いので、多くの方に最近声をかけられるようになって。で、運転手さんが、「ひとつ質問していいですか? あなたはなんの専門家ですか」って(笑)。
すごくいい質問。「なんの専門家でしょうね〜」って言って終わったんです(笑)。委員で依頼していただくのも分野は教育、情報通信、生活、経営、金融、法律とさまざま。いったい私は何のプロなんだろう、と。
- 石倉
多岐にわたっているんですね。……でも、縦割りじゃなくて、こういうふうに横に切って、新しい分野を作っちゃえばいいじゃないですか。
私、黒川さんと知り合ってすごいと思うのは、黒川さんはお医者さんだから、お医者さんとしてもすごいのだけど、ほかのこともいろいろ知っていて、いろいろな分野についても一言言う、という姿勢を持っているわけ。一言より三言くらい言っているのですけど、実は(笑)。他の国でも、世界級の人たちは、みんな自分の専門分野以外に、他の分野のこともよく知っていて、いろいろな課題について、自分の主張を持っています。それがすごいと思います。
だいたい専門というとみんなひとつの分野に凝り固まる傾向がありますよね。でも、そうではなくて、この分野のこのアイディアとあの分野のこれを合わせて、さらに違う分野で使うとしたら、こんなすばらしい組み合わせになるのでは? って言えるのは、貴重だと思います。
- 佐々木
そうはいっても、「プロとは、その分野の知識力が圧倒的にある」って書かれていましたよね。
- 石倉
そう。でも別の見方をして、良しとしてしまいましょう(笑)。それぞれの分野って、どんどん複雑化し、高度化しています。そこで、ある分野のことを縦に全部知ろうと思ったら、120歳まで生きるとか、1人だけ1日48時間あるとか、そういう人じゃないとできないから、しょせん無理なわけ。しょせん無理なことはやらないで、別の切り口で横に切ってしまうというわけです。
- 佐々木
何でも興味があるし、広く薄くですが。ジェネラリストのプロとか言ったりして。
- 石倉
そうそう、そういう話です。今の時代、昔からあった枠組みとか、フレームワークとか、分類法ってあまり有効じゃないですよね。昔の「女性・男性」とかで仕事や分野を区別するというのもそうですが、過去からある分類は、これから物事を考える上ではあまり役に立たないことが多いですよね。実は多くの人がそう思っていると思いますけど。
- 佐々木
業界もそうですね。
- 石倉
そう。通信とか、放送とか、出版とか、今までの「業界」は現在と将来を考えるのにあまり有効ではありません。だけど、それに代わるものがないから、みんな、そのまま使っています。だけどこれからは、業界のように縦ではなく、横に切る、という見方が大切だと思います。
- 佐々木
横割りのプロ。
- 石倉
そうそう! そういうことです。絶対そうだと思います。それは、この分野でやっている面白いことを、他の分野で使ったらどうなるの、と考えられるのは、いろんな分野を広く知っている人しかいないから。
- 佐々木
それは、1つの分野はあまり深くなくても、そこそこに、まあ一般の人よりちょっと厚めの知識があれば、専門家より浅くても、全部横に切って、いいんですか?
- 石倉
もちろんいいんです。それが強みですから。
- 佐々木
なんか今日、すごく救われた。
- 石倉
でも、本当にそうですよ。私本当にそう思います。だって、今こそ、そういう時代ですから、そういう人が必要なのです。今までの縦割りの分類でしか考えられない人は、「横に切る」といったってどうしていいかわからないでしょう? だから、時代の一番先端ですよ。
10/22
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