ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第77回 石倉 洋子さん

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石倉 洋子さん
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戦略は、差別化がカギ
- 佐々木
確かにそうです。質問内容について、声をかけてくれたりしますものね。話はちょっと変わりますが、そういった世界トップの会議では、私は背は小さいし、相手からすると「アジアの小さな女の子」位にしか見えない。当然レベルが違って、対等に見られていないという空気を感じながら、よけいに気後れしてしまい、場をつかむのに時間がかかるんです。
- 石倉
身長が、というのは、差別化のすごい要因ですから、逆にそれを活用したら良いと思いますよ。日本のビジネス界などは、女性が少なく、女性だと目立つから、みんな覚えてくれます。その上に、身長が低いということになれば、一度会うと、印象に残るでしょう? 戦略って差別化がカギですから、人と違うことは大きなメリットです。それをうまく活かしたら良いと思います。
- 佐々木
あ、女であることも、背が小さいことも戦略と捕らえるんだ。戦略の専門家にそう表現されるとうれしい(笑)。
- 石倉
そう。そうやって外見で差別化した上で、みんなが言うことと違うことを言うといいんです。どうしてそういうかというと、以前、私も大失敗したことがあるからです。ある会合で大前研一、竹内弘高(一橋大学大学院国際企業戦略研究科長)、私の3人がスピーチをしました。大前研一さんがまず話して、次に竹内弘高教授が、そして3番が私。待っているうちに、言おうとしていたことを先の二人に全部言われてしまいました(笑)。
- 佐々木
そういうこと、時にあるんですよね。
- 石倉
あ、まずいなあ、っていう感じで、結局自分でも覚えていないくらいどうでも良いこと、なんだかかよく分からないことを話す結果になったのですが、これは差別化を考える上でとても重要な経験でした。私しか知らないこと、私しか言えないことを言えばよかったのだ、と後ですごく後悔しました。偉そうなことは、偉そうな顔をした人が偉そうに言えばいいわけで(笑)。
大前さんの迫力や竹内の吉本興業みたいな語りと対抗しようとしたって、全然無理なのです。二人とも非常に個性的な人だから、同じ土俵で勝負しようとせず、私らしさを出したら良いのだ、ああそうか、と思ったのですが、そこに考えがいたるまでは暗〜い気持ちになって結構大変でした。この経験はすごく印象に残っています。
- 佐々木
私も常に、「私しか思いつかない視点はなんだろう」と考えながら、発言を準備するんですが、それが、同じことを前の人が指摘したりすると、自分らしさが不明確になってしまったり、特徴ある人の話し口調に似てしまったりもしてね。
- 石倉
そう。さっきの堀場さんも話がすごく上手だったから、その後で私がモデレーターをやったパネルはすごく迷走しちゃいました。「うまいなあ、すごいなあ」っていう余韻が残っていて、自分は頭が整理できず、議論をうまく交通整理できないまま終わってしまい、結構ひどかったんです。
- 佐々木
そんなことがあるんですか? 石倉さんからそんな話を聞くと、それはそれでちょっと正直うれしくなってしまう(笑)。国際戦略の専門家でも、って。
- 石倉
しょっちゅうそう(笑)。だから、恥かいたこと、すごく多いもの。
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