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石倉 洋子さん
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「場慣れ」が大切
- 佐々木
石倉さんの本には、ダボス会議のことが何度か出てくるんですけれど、私はフォーチュン誌主催のブレインストーム会議に出席しているんですね。隣にアイズナー会長が座っていたりするので、ドキドキワクワクしながらなんですけれど。そこでは英語力もさることながら、やっぱり自分の発信力のなさを反省するんです。MBAで鍛えていたらディスカッションに入りやすいのかなあ、って思ったりもして。
- 石倉
MBAを持っているかは、あまり関係ないですよ。要するに、「場慣れ」と「言うことがあるか」という組み合わせの話ですから。
「場慣れ」はとても重要です。初めて行くと、ダボス会議でもどういうふうに会議が進行するのか、ルールが分からないでしょ。場のルールや楽しみ方がわからないと、余裕がないし、本当にその機会を有意義に使うのは難しいです。
だから私が最初にダボスに行った時は、会議のやり方や平行して行われる数百のセッションの参加ルールが全然分からなくて大変でした。自分が責任をもたされたパネルは何とかやりましたけれど、ディナーはどこへいけば良いのかとか、ランチはどうするのか、とか、どこでどのセッションをやっていて、それに参加するにはどうしたら良いのかが、全然分からなくて、迷子になったみたいでした。近くを見たらどっかで見た顔の人がいて、なんかあの人見たことあるな、と思ったらマイケル・デルだった、とか、そんな様子でした。
でも2年目になると、この会議はこういう仕掛けで進むとかルールがわかってきて、自分の専門分野に近いセッションや、専門分野とは違うけれど先端的なセッションに行ったりできるようになるわけです。ディナーなどもおもしろいテーマの所にいったり、すごい人に会えそうな所、食べ物がおいしそうな所に行くなどいろいろできるようになります。
- 佐々木
そうですね。大物を見かけても、ここで名刺交換したほうがいい、最高にラッキーなチャンスなのか、後にネットワーキングパーティーなどがあって、そちらが適切なのか、なんてことも考えちゃう。確かにオタオタしますね。
- 石倉
そうです。前に、F-1のレーサーが書いたすごく印象に残っている記事がありましたが、そこには、「レースに最初に参加した年は、トイレの場所もわからないから、全然ダメ。勝負になるっていう話じゃない」と書いてありました。その感じはとてもよく分かります。どうなっているかわからないと、気後れするし、何となく余裕がなく、どう振舞っていいかわからないでしょう。だから、「場慣れ」はとても大事だと思います。
- 佐々木
空気を掴むことの大切さ、なんですね。だからこそ、見てるだけじゃなくて、発言しなくちゃ、と思うのですが、そのタイミングや質も、つかめないことが多いです。
- 石倉
でも大きな会議などの場では、ちょっとばかみたいかなと思っても、まあいいやっていう感じで質問してしまいます。たくさん質問すると、ばかみたいなことを聞く可能性はかなりあります。でもそのリスクを恐れていると、何も聞けなくなってしまいますからね。
- 佐々木
そうなんですよね。こんなバカな質問はだめだ、って思っていると、どの質問ならして大丈夫なのかもわからなくなるって、結局無口でいたりして(笑)。
- 石倉
だけど、まあいいや、っていう感じで聞いてしまうと、意外に多くの人も同じ疑問を持っていたので、皆に感謝されるということもあるんですね。それから、会議などの場で、何か聞くと、他の人がその質問について、後で何か言ってくるから、多くの人と知り合いになれるというメリットもあります。
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