ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第77回 石倉 洋子さん

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石倉 洋子さん
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やってみないと、始まらない
- 石倉
何でもやってみないと始まらないし。何かやろうかなと思ったら、やっぱり当たって砕けろというのが良いと思います。だって、わからないじゃない、やってみないとどういうことになるか。佐々木さんもきっとそうですよね。どんどん新しいことをやるから、いろいろ可能性が開けるわけだし、しだいに周囲にも知られるし、と思いますけど。
- 佐々木
そうですね。やりたいことを、どんどん実現させていくのが好きで、仕事をしています。それが新しいと、可能性も開けるし、周囲の人にも知っていただける……。
- 石倉
日本だと一方、新しいことがやりにくいところもありますけど。でも新たなチャレンジをすることの意義を分かる人、評価してくれる人も結構たくさんいるしね。それに自分でやってみれば、失敗しても、学ぶことは多いから。なんとかなる。
- 佐々木
そうですね。なんでも挑戦してみないと、わかりませんね。
- 石倉
私、よく考えてみると、去年位から私は付き合う人が少し変わったのです。それで、最初は、圧倒されてしまい、何しろすごい恐怖だったのです。世界が突然バーンっと広くなった、という感じで。でも、だんだん平気になってきた。平気というか、なんとかかんとかやってきた、っていう感じです。
- 佐々木
それは去年、開けたっていうのは、何でですか?
- 石倉
堀場さんとか、黒川さんとか、元東大の教授でTI(日本テキサス・インスツルメンツ)の元社長・会長の生駒さんとか、年上のすごく偉い人たちの中で、パネルの主査をやるとか、突然そういう話になってきたのです。それで、話の質が変わったのです。こういう方々は、それぞれの専門分野はもちろん、ほかの分野についても良くご存知なのに、私は全然、歴史とか一般的な教養がなくて、知らないので、最初は圧倒されてしまい、こんな中で私はやっていけるのかなあと心配でした。
ある時、堀場さんと歴史の話になって「昔のことをそれだけ説明する人っているんだよね」とおっしゃったのに対して、「ただ歴史の説明をするだけでは、面白くないし、あまり意味がないですよね」って言ったら、「今から将来を見通すために、歴史的な事件がどんな意味を持つかとか、我々がどういう道をたどってきたかを考えないと、過去のことを知っているだけでは、歴史って意味ないよね」とおっしゃったのです。何か、雑談をしているときに。それがすごく印象に残ったのです。
ああ、歴史観を持つってこういう話なのか、とその時、思ったのです。それから黒川さんが歴史的な変遷の中での科学の話や、生駒さんが長期にわたるイノベーションを語る話などを聞いていると、だんだん歴史観という今までは何だかわからなかったことが身近になってきたのです。
そんな話の中で、黒川さんが書評を書いているけど、こういう本が面白かったといっているのを聞いて、そこにとりあげてある本をみんな買ってきたりしたのです。本はまだほとんどが積んであるだけなのですけど(笑)。一部読んだものからは、うわー、面白い、これは私がまったく知らなかった世界だと思ったわけ、それまで一般教養に触れていなかったので。私はそういう点ですごく影響を受けて、変わったと思います、去年から。
- 佐々木
日本の歴史、ですか?
- 石倉
ううん、日本の歴史だけじゃなくて、世界の歴史をひもといてみると、印刷技術ができてきて、社会がどう変わったとか、科学は今までは戦争のために進歩してきたとか、物理的な範囲も広く、時間的にも長い範囲を俯瞰した話なのです……
- 佐々木
ああ、先日もある財団の評議会で、ノーベル賞って、実はたいてい、軍事的な興味で研究者がスタートしているから、紐解いていくとあんまり偉くないんだよね、っていう話が出ていたんですけれど、そういう種類の。
- 石倉
そういう種類の話です。そういう話はすごく面白い、やっぱり。私は何も知らないから、とても珍しく、自分の頭も体も刺激されて、世界が広がっていくような感覚がするのです。
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