ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第9回 坂野尚子さん

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株式会社キャリア戦略研究所 所長 株式会社ザ・クイック 代表取締役
坂野尚子さん
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人生の分岐点、それはニューヨーク
- 佐々木
希望どおりということですが、フジテレビでのアナウンサーの仕事は想像どおりでしたか?
- 坂野
自分のあこがれの仕事に就いているという実感はあったけれども、女性アナウンサーっていうのは、「いつ外に出るのかな?」っていうことを考え始めると思うのね。
- 佐々木
外に出る、とは?
- 坂野
たとえば、フリーになることを考える人、「この仕事ってこれでいいのかな?」って思う人……。放送業界の仕事って、ディレクターに指示されて動く仕事であるということもあるし、矛盾を感じるところもすごくありましたよね。放送業界のことはよくご存知だと思いますが。
- 佐々木
いやあ、わたしが働かせていただいた『ニュースステーション』では、取材の状況で、それぞれ違う役回りがあったんですけど。
- 坂野
「じゃあ、ジャーナリズムはどうかな?」っていうことを考えてみると、本当に自分が今やっていることが「世の中で一つの価値として認められているようなものなのか?」とか、「世の中に貢献しているのか?」「世の中を逆に悪くしているんじゃないか?」とかね。
自分の価値観として「本当に自分がこれでいいのかな?」と感じることもあったし……。そんなふうに、いろんなことを考えながら5年間フジテレビでアナウンサーを続けた後、ニューヨークの特派員を希望したんですね。それがフジテレビでの残りの2年間。全部で7年間いたんです。
ニューヨークに行ってから、自分の人生をすごく客観的に見られるようになった。「どういうふうに、自分の人生をつくっていこうかな?」っていうことを考え始めました。駐在に行く前には、「ずっとフジテレビでアナウンサーをやるか」「フリーでアナウンサーをやるか」「フジテレビで違う仕事をやるか」「大学院でジャーナリズムを勉強するか」という4つの選択肢があった。どれを選ぶか行ってから答えを出そうと思ったんです。
アメリカ人、日本人、20代の方、60代の方、いろんな人とお友だちになったり、そういう社会の中に身を置いたりすると、今まで自分が考えていた枠が外れて、外側の世界が見えるようになって。
そんな中、自分をすごく刺激したのが「ビジネス」という言葉。非常におもしろいと思いました。アメリカでは女性の起業家が本当に多く育っています。そういうところにこれから自分がチャレンジしていくっていうのは、おもしろいんじゃないかと思ったんです。
たしかに、テレビの世界もすごくおもしろいし、本当にやりがいがあるんだけれども、「40歳、50歳になった時の自分は、どうなっているのかな?」っていうイメージが漠然とあって、そういう中で、いくつになっても仕事ができるようなことをやっていきたいな……と思って。じゃあ、ビジネスの世界に行きたいって思ったの。
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