ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第9回 坂野尚子さん

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株式会社キャリア戦略研究所 所長 株式会社ザ・クイック 代表取締役
坂野尚子さん
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自分で自分を縛らない生き方
- 佐々木
ニューヨークでの2年間で、ご自分がすごく変わった、学んだと思うことありますか?
- 坂野
ありました。それは、「いくつになっても新しいことを始めてもいい」っていうこととか、そういう新しいことを始める人たちに対して周囲のみんながサポートしていく……という価値観とかね。
- 佐々木
たしかに年齢による考え方の制限が、少ない国ですよね。
- 坂野
全体的に一つ言えるのが、やっぱり、多様な生き方が許される、ということ。そういうことを痛感しましたね。日本っていう国は、いまだに何か偏見がありすぎるというか、自分で自分を縛っている、生き方を縛っている、っていうところがあるでしょう。
たとえば、20代の女の子は結婚しなくちゃいけない。とか、結婚している女性は子どもを持たなくちゃいけない……とか、40代の家庭持ちの男性はこうあるべき……みたいなね。
わたし自身もそういうことを少し意識していたんですが、ニューヨークで生活することによって、自分も多様な生き方ができるって、実感したんです。
ビジネス、アカウンティング、マーケティング、そういう一つ一つの科目を総合的に勉強したい。そのためにもビジネス・スクールに通って、MBAを取りたい。それにニューヨークが大好きでしたから、コロンビア大学を第一志望にしたんです。3月に帰って来て、それから受験勉強。GMATとかTOEFLなどのテストを受けるんですけど、結局8カ月間は、浪人生活をしていました。かなりきつい時を過ごしましたね。
それまでは、組織に所属していることでいろんな面で保障されていたのに、それがなくなった。やっぱりすごく厳しいなって。
- 佐々木
退職してから、受験勉強を始めたんですか?
- 坂野
ええ。今のわたしのキャリア・カウンセラーという立場からすると、「試験に受かってから辞表を出しなさい」って言うんだけれど。当時のわたしには、そういうことを言ってくれる人が誰もいなかったので、とにかく辞めてから勉強する、という道を選んだんですよね。当然受かる保障も何もない訳で、よく本当に今日があると思うんですけどね。
ただ、自分が起業するという夢に向かって、会社を辞めて一生懸命頑張っているのに、1点とか10点とか、点数で左右される人生になるのは、嫌だなって思いました。そういう矛盾も抱えながらも、とにかく頑張って……。それで、ちょうど暮れの12月25日にコロンビア大学からの合格通知があって、その月末にはもうニューヨークに向けて出発したんです。
- 佐々木
すごいスピード。
- 坂野
ええ。その年は、夏学期もとって、翌年の5月には卒業したので、1年5カ月。本来だったら、卒業して、次は起業、となるんでしょうけれども、起業するためのビジネスのネタっていうのがなかなか思いつかない。
それに、まず経営を現場で勉強したいということもあって、経営コンサルティングの会社に入社しました。当時KPMGの中でストラテジーの戦略コンサルティング部門を立ち上げるという時期だったんです。すごくおもしろそうっていう理由もあったんですが。
- 佐々木
それは日本で、ですね?
- 坂野
日本で。それはなぜかっていうと、ビジネス・スクール時代に知り合って結婚した夫が日本勤務だったので、一緒に帰って来て、それから就職をしたという(笑)。
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